episode6 クルド公爵

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「アナスタシアだけだから」 レオンハルトの言葉が呪文のように聞こえた。 たとえ“アナスタシアだけ”という言葉が今だけのものだとしても、構わない。 今だけはレオンハルトが自分だけのものならば、それで充分だから。 レオンハルトの愛が永遠に続くなどと思わないようにしなければ。 甘いお仕置きを受けながらそう思うアナスタシアだった。 * * * * * * * * * * * * * * * * ヘルストン家の別荘から戻って二週間ほど過ぎた頃。 いつものように三つ子たちの賑やかな声が響く。 「わっ、すっごくキレ~」 フィナがうっとりした声をあげ、手にした何かを掲げた。 「みてみて!ほら」 「わ~ほんと綺麗」 サーラも一緒になって騒ぎはじめる。 「あ!あんた達、触っちゃダメって言われたでしょ!」 リュイが慌ててフィナが掲げたものを奪う。 「汚したり、破れたりしたらどうするの!」 「大丈夫、大丈夫」 フィナが悪びれることなく笑う。 リュイが奪い返したものを丁寧な手つきでハンガーにかける。 「ほんと綺麗なドレスですね」 リュイもうっとりとしてため息をつく。 大きく膨らんだ裾。 大きく胸元の開いた淡い黄色のレースドレスだった。 まるでウェディングドレスのようなデザインをしている。
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