142人が本棚に入れています
本棚に追加
/256ページ
(レオンハルト様と結婚・・・?私が?)
きっとそれはない。
第一身分が違いすぎるもの。
これから先、レオンハルトはどこかのご令嬢や異国のお姫様と結婚する。
レオンハルトはないと言うけど、レオンハルトの立場や身分を考えたらアナスタシアだけというのは無理があると思う。
(そんなのきっと無理だよ)
だからレオンハルトは求婚はしていない。
五年後、十年後はどうなっているか分からないから。
アナスタシアのことは、ただの恋人にしておきたい。
その先があるとしても愛人程度の存在なんだ。
妻の座なんて望むのもおこがましい。
(期待しちゃダメ)
もしかしたら・・・なんて淡い期待を持って、その期待を裏切られたら。
レオンハルトを恨んでしまうから。
私だけと言った言葉を信じて裏切られたら、レオンハルトを憎んでしまいそうだから。
期待しない、絶対。
アナスタシアは今日までずっと、レオンハルトとの未来なんて望んではいけないと自分に何度も言い聞かせている。
「三人には申し訳ないけど、それはないと思うわ」
「え~なんで?」
「なんでですか?」
「ん~っと、私の身分が低いからかな?」
「え~身分低いと結婚できないんですか?」
「お二人はお互いに好き合っている同士なのに?」
フィナとサーラはなんで?なんで?と言いはじめる。
二人に上手く説明できないアナスタシアは黙りこんでしまう。
リュイはそんなアナスタシアを心配そうに見ていた。
* * * * * * * * * * * * * * * *
寒さが厳しくなってきた頃、アナスタシアはコルト地方を訪れた。
最初のコメントを投稿しよう!