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「じゃあ、もっと雪が積もる真冬に改めて来ないとね」
「はい」
レオンハルトは最近、こうして未来の約束を口にする。
今度あそこに行こうね、これをしようね。
些細な何気ない約束。
全てが叶うとは限らないけどレオンハルトが語る未来に自分がいることは嬉しい。
「叔父が首を長くして待ってるから行こうか」
自然にアナスタシアの手をとり歩くレオンハルト。
二人で並んで、同じ歩幅で歩く。
こうしてレオンハルトと二人で未来を歩いていくのだと思った。
アナスタシアは自分を見つめる優しい瞳に笑いかえす。
(この未来もあなたと一緒に)
いられたらいいなと願いながら。
* * * * * * * * * * * * * * * *
「お待ちしておりました」
出迎えてくれたのは、スラリと背の高い執事だった。
「ご案内いたします」
玄関を入るとすぐに大きなシャンデリアがぶら下がるホール。
大理石の階段に深紅の絨毯。
宮殿そのもののイメージだった。
(凄い豪邸。さすが先帝の弟君のお屋敷)
執事に案内されて歩いていると、横の通路から来た一人の女性と出くわした。
レオンハルトを見たとたんに女性の顔がぱぁっと華やぎ、駆け寄ってきた。
「レオン!」
「わっ!危ないっ!」
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