episode6 クルド公爵

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「エミリア」 レオンハルトの咎める声がする。 「レオン、行きましょ。お父様がお待ちよ」 エミリアは全く気にせずレオンハルトと腕を組んで行こうとする。 アナスタシアは向けられたエミリアの背中に拒絶されたと感じた。 「エミリア」 更に強く咎めるレオンハルトの声。 その声に滲む怒りを感じとったエミリアがビクッと肩を震わせた。 「それ以上は怒るよ」 「だってレオン」 「怒るよ」 不満そうに唇を尖らせるエミリア。 チラリと横目でアナスタシアを見る。 穢らわしいものでも見る瞳。 その冷たい視線にアナスタシアの心は折れそうになる。 どうやら彼女は私達の交際には反対のようだ。 家族の一人に歓迎されていないんだ。 (やっぱり私の身分のせいなのかな) だから反対されるのかな。 身分がないから受け入れてもらえないのかな。 これから公爵様に会うのに、このまま会って大丈夫? 正直なところ公爵様も私達の交際には反対なのではないのかと思う。 「アナスタシア」 「は、はい!」 「大丈夫・・・何も心配ないから。行こう」 言い聞かせるようなレオンハルトの声。 レオンハルトに背中を押され歩きだす。 エミリアがひき止めるようにレオンハルトを呼んだが、無視している。 「レオンハルト様。いいんですか?」 怒っているのか怖い顔のレオンハルト。
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