episode6 クルド公爵

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後から入ってきた男性が冗談めかして笑いながら言う。 声の方に振り向くと、大きな体の男性が立っていた。 ゆうに二メートル近くあるのではないかと思う巨体は、近くにくると壁のようだった。 「ゲオルク」 「レオン、久しぶり。元気そうじゃん」 レオンハルトとがっちり肩を組んで再会を喜んでいる。 とても親しげで仲の良さがうかがえる。 「アナスタシアさんも、はじめまして。ゲオルクです。宜しくね」 大きな手を差しだし握手を求めるゲオルク。 大きな体を少し屈めて、アナスタシアが怖がらないように気遣ってくれる優しい人だった。 「アナスタシアです。こちらこそ、宜しくお願いします」 「うん。宜しくね」 ゲオルクはレオンハルトの二つ年上で、エミリアはレオンハルトの三つ年下。 シエナ皇后が亡くなった後、クルド公爵夫妻に引き取られ、ここで育ったレオンハルト。 年の近い三人はすぐに仲良くなり、本当の兄妹のように育ったと聞いた。 「妻は昨年、病で亡くなってね。アナスタシアさんに会えなくて残念がっているよ」 「そうだね。いつも母さんは“うちの子たちはいつになったら結婚するんだ”って言ってたなぁ」 思い出して笑うゲオルク。 部屋中に飾られた写真の中の公爵夫人は、穏やかな笑みを浮かべた綺麗な女性だった。 後で挨拶に行こうか、とレオンハルトは言った。  「そう言えばエミリアはどこだ?」 娘の姿が見えず、辺りに目をやる公爵様。 「エミリアは妹なんだ。あいつレオンが彼女連れてくるって聞いていじけてるんだよ」 ゲオルクが説明してくれる。 先ほど会った美少女がエミリア。 ゲオルクとレオンハルトの妹。
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