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後から入ってきた男性が冗談めかして笑いながら言う。
声の方に振り向くと、大きな体の男性が立っていた。
ゆうに二メートル近くあるのではないかと思う巨体は、近くにくると壁のようだった。
「ゲオルク」
「レオン、久しぶり。元気そうじゃん」
レオンハルトとがっちり肩を組んで再会を喜んでいる。
とても親しげで仲の良さがうかがえる。
「アナスタシアさんも、はじめまして。ゲオルクです。宜しくね」
大きな手を差しだし握手を求めるゲオルク。
大きな体を少し屈めて、アナスタシアが怖がらないように気遣ってくれる優しい人だった。
「アナスタシアです。こちらこそ、宜しくお願いします」
「うん。宜しくね」
ゲオルクはレオンハルトの二つ年上で、エミリアはレオンハルトの三つ年下。
シエナ皇后が亡くなった後、クルド公爵夫妻に引き取られ、ここで育ったレオンハルト。
年の近い三人はすぐに仲良くなり、本当の兄妹のように育ったと聞いた。
「妻は昨年、病で亡くなってね。アナスタシアさんに会えなくて残念がっているよ」
「そうだね。いつも母さんは“うちの子たちはいつになったら結婚するんだ”って言ってたなぁ」
思い出して笑うゲオルク。
部屋中に飾られた写真の中の公爵夫人は、穏やかな笑みを浮かべた綺麗な女性だった。
後で挨拶に行こうか、とレオンハルトは言った。
「そう言えばエミリアはどこだ?」
娘の姿が見えず、辺りに目をやる公爵様。
「エミリアは妹なんだ。あいつレオンが彼女連れてくるって聞いていじけてるんだよ」
ゲオルクが説明してくれる。
先ほど会った美少女がエミリア。
ゲオルクとレオンハルトの妹。
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