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「しょうがない子だ」
「大好きなレオンお兄ちゃんの恋人にやきもちやいてるお子様だよ」
あぁ、だからあんな敵意ある目で見たのね。
エミリアにとって自分は大好きな人を奪った憎い奴ってことか。
どうやったらエミリアと仲良くなれるかなと思った。
「やきもちをやいてるだけで意地の悪い奴ではないんだ。仲良くしてやってね」
「はい。もちろん」
妹思いのゲオルクはそうアナスタシアにいった。
そんなゲオルクを見ていると、亡き姉レイシアのことを思い出す。
私たちは仲のいい姉妹だった。
私は姉のことが大好きでいつも姉の後を追いかけていたっけ。
姉に恋人ができて、それが幼なじみのジャンだった。
姉を奪ったジャンにやきもちをやいて、意地悪したのを思い出して笑ってしまった。
「仲のいいご兄妹で羨ましいです」
「ご兄妹はいるの?」
ゲオルクに聞かれほんの一瞬ためらう。
「はい。姉が一人」
「そう。美人姉妹だろうな」
お姉さんにも会ってみたいなと言うゲオルクに上手く答えられなかった。
* * * * * * * * * * * * * * * *
「お疲れ。今日は色々と大変だったね」
部屋に案内され、ひと息ついたところでレオンハルトが聞いてきた。
窓際に立ち外の景色を見ていたアナスタシアを背後からそっと包み込むように抱きしめる。
「そんなこと。皆さん、快く迎え入れてくださって」
「約一名の問題児がいるけどね」
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