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花盗人
花盗人は、文字通り花を盗むものである。
美しい花を勝手に持ち去るのは犯罪…だと思われるのだが、実際には昔から花を盗む行為は罪に問われづらいのだと言う。
「花泥棒は罪にはならない」なんて言葉があるくらいに。
これだけの花が咲いた庭だ。
確かに、盗んでしまいたい気持ちにはなってしまうのかもしれない。
「だとしたら…嫌だな。見映えが悪くなるぐらい盗まれたらどうしよう…」
ショボンと垂れ気味の耳と尻尾の幻覚が見えそうなほど落ち込む侑さんに、なんとか元気になってもらいたくて、私は彼の口にクッキーを突っ込んだ。
「美味しいもの食べて忘れよう!」
彼は笑った。
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