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次の日、屋敷に行くと侑さんは庭には居なかった。
代わりに60歳くらいの男性が庭に立っていた。
「里恵さん、ですね」
「私は我妻一誠と申します」と深々と礼をされ、私もそれに倣う。
苗字が同じということは、侑さんの父親なのだろうか。
一誠さんは、「今日は侑は具合いが悪く、外には出られないのです」と、申し訳なさそうに謝罪をした。
ムリに会うことは出来ないし、私は一つ伝言をお願いして、その日はそれで帰った。
「明日学校の実習でクッキーを焼くことになりました。上手くできたら持ってきますね」
伝言を預かった一誠さんは、侑さんに似た笑顔で私を見送ってくれた。
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