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ひょことの出逢い
それは、突然やってきた。
『みこちゃん、みこちゃん!』名前を呼ばれて目を開けると、何かが私の顔を覗いてた。
真っ白な小さなお顔。くりくりの目に、にっこり笑った口元。
「だっ...だれ?!」
白い生物は小さい手と足をバタバタ動かしながら、私の反応に慌てていた。しばらく見ていると、ピタッと止まり、こちらに向き直っていった。
『僕はひょこ!みこちゃんのお友達だよ!』
「ひょこ?」
何だかどこかで聞いたことが...
「思い出せない...」
辺りを見回すと、白い壁に白い床、白い天井に淡いオレンジ色の電気。
ここは病院?何で私病院にいるの?
左側に窓がある。カーテンはしまっていて外は見えない。その手前に小さなタンス。タンスの上に写真たて。私と男の人が写ってる。
この男の人誰だろう?
まあ、そんなことはどうでもいっか。
「ひょこはなんなの?」ひょこの方が気になる。
ひょこはう~んと首を傾げた。
『君の守り神みたいなもんさ!まあまあそんなことより、一緒にかくれんぼしない?』
ひょこはピョコピョコ跳ねながら目を輝かせていた。
「でも、病院だよ?そんなことしていいの?」私が聞くと、ひょこはえっへんと自信満々に、
『もう自由に遊べるよ!』と言った。お医者さんが許してくれたのかな.....?
「ひょこが言うなら」私はベッドを軽々とおりて、病室の外へ出た。
「私隠れる~!」ひょこのことは知らないはず。でも信用できるような気がする、ひょこはよくわかんないけどとてもとても安心する。
ふと、足元を見ると、白いハンカチが落ちていた。
「誰のだろう...?」私はハンカチをなんとなくポケットに突っ込み、走り出した。
目の前から看護師さんが見えた。私は止まって、様子を伺った。
何事もなく、看護師さんは私の横を通りすぎていった。
本当に自由に遊んでいいんだ...。
私は私のいた病室から少し離れた別の病室に入った。
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