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4日目
「ロフィー、人間界の様子をこれへ」
「ははっ」
本日映った光景は、ある地域で人間たちが貧困に喘いでいる姿だった。
いわゆるスラム街、治安も最悪で常に死体が転がっている次第だ。
「クックック、人間というものは何とも哀れな…金がなければ生きていけぬのはどこも同じか。
この地にこやつらを侮辱するような文言を添えた巨大な絵でも描いてやろう、
さすれば人間どもはなけなしのプライドが傷つけられ、もはや生きる気力さえも失われるであろうな」
「左様に御座います」
「ならば答えは一つだな」
――我の力にひれ伏せ人間ども!!
魔王の手が悪の光に覆われ、光は鏡へと解き放たれた。
✼•┈┈┈┈•✼•┈┈┈┈•✼•┈┈┈┈•✼
その頃、人間界では……
「おい!何だこれは」
「よくわからんが……素晴らしい絵だ」
「心が洗われる…」
「ママ…何だか元気が出てきたよ」
ニュースでは「画伯到来!?スラム街に巨大な映えスポット!!」として、世界中から人が集まった。
かくして、このスラム街の治安も見直され、経済が回り有名な観光名所となった。
……無論、魔王は事の顛末を知らない。
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