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5日目
「ロフィー、人間界の様子をこれへ」
「ははっ」
本日映った光景は、ある集落で人間たちが平和に暮らす姿だった。
農耕、牧畜で自給自足の生活。争いもなく笑顔が絶えない。
「クックック、人間というものは何とも呑気な…こういう光景を目にすると腹が立つわ!
そうだ…この地の者たちには毎晩悪夢を見せてやろう。
さすれば人間どもは毎日うなされろくに眠れず、集落は徐々壊滅していくであろう」
「左様に御座います」
「ならば答えは一つだな」
――我の力にひれ伏せ人間ども!!
魔王の手が悪の光に覆われ、光は鏡へと解き放たれた。
✼•┈┈┈┈•✼•┈┈┈┈•✼•┈┈┈┈•✼
その頃、人間界では……
「なぁ、先日から変な夢を見るんだが…」
「俺もだ、嵐が来て農作物や家畜、俺たちまで吹き飛ばされていた…」
「まったく同じ夢だ!おかげで寝不足だよ」
集落の者たちは異口同音に夢の話を始め、長老に相談した。
「それはまずいな……念のためじゃ、作物はちと早いが収穫を始め、家畜たちは避難させよう。
それが終わったらしばらく、全員自宅待機じゃ!」
すべての作業が終わった後、空前絶後の大嵐が集落を襲った。
「やはり予知夢ってあるんだな…お陰で助かった」
「もしかして、神の導きでは?」
かくして、この集落は災害を回避し、また平和な日常へと戻った。
……無論、魔王は事の顛末を知らない。
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