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7日目
「ロフィー、人間界の様子をこれへ」
「ははっ」
本日映った光景は、ある地域で人間たちが美しい自然に囲まれている姿だった。
美しい山々、碧い海。
バカンスにもってこいの、いわゆるリゾート地と呼ばれる場所だ。
「クックック、人間というものは何とも凡庸な…魔界には針の山と血の海……う、羨ましくなどないんだからね…!」
「何と?」
「な、何でもないわ!!
そうだ、この地を我が奪ってやろう。
その前に部下を現地調査員として派遣せねばな。
気に入ったもの全ては我が物になるのがふさわしかろう?」
「左様に御座います」
「ならば答えは一つだな」
――我の力にひれ伏せ人間ども!!
魔王の手が悪の光に覆われ、光は鏡へと解き放たれた。
✼•┈┈┈┈•✼•┈┈┈┈•✼•┈┈┈┈•✼
その頃、人間界では……
「調査員の方、よく働いてくれてありがとうございます」
「いえいえ、これも仕事ですので!
次はそうですね…、この山のこの辺、ロープが緩んでいるので張り替えましょう」
「開発も進んでますし、安全管理もバッチリですね!」
魔界から派遣された調査員は本来の役割も忘れ、真面目にリゾート開発員の一人として真面目に働いていた。
結果、このリゾート地は更に栄えることとなり、世界に誇る名所となった。
……無論、魔王は事の顛末を知らない。
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