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「進路、オールグリーン。クリア。突入開始」
ベニー達は雑居ビルの廊下を進む。二階へと上がる階段前にて自動小銃を構える背広の男を発見したベニーは全員にストップのハンドサインを出す。
自動小銃とは穏やかじゃないし、実に野蛮な奴らだ。ベニーは自動小銃の男を排除することにした。
対処そのものは実にあっさり、サイレンサーを付けた拳銃からのヘッドショット一発で終わった。自動小銃の男からすれば突如頭を撃たれて死んだのだ、自分が死んだという認識も痛みすらもないあっさりとした死であった。
「流石」
エピナルがベニーを褒め称える。ベニーからすれば士官学校での訓練のおかげで出来て当然のこと。拳銃の最大射程距離の50m以内ならどこにでも当てる腕前を持っている。人を殺したことがあるだけのチンピラとは格が違う。
「地下に行ってエレベーターの電源停止。出口の封鎖は確実に」
「イエッサー」
エピナルは警備がいない地下電源室に行き、エレベーターの電源のみを切った。エレベーターの電源表示が切れても見張りは案外気が付かないもの。気がついた時にはベニーによってヘッドショット、もしくは首の骨を折られて絶命するのであった。
そして辿り着くは最上階、後はここにいる奴らを殲滅すれば今回の任務は終わる。
ベニーは先程手に入れた自動小銃の掃射で一気に終わらせるつもりだった。ここにいるものは殲滅済、悲鳴も銃声も聞きつけて来る者は誰一人としていない。
ベニーは最上階の木製の豪華な扉を蹴り開けた。そこにあったのは黒い部屋、壁には何やら祭壇があり、カエルや蛇の干物が皿の上に乗せられていた。その中央には邪神像と言わんばかりの角の生えた山羊を思わせる悪魔の像。床には幾何学模様の魔法陣。魔法陣を囲んでいるのは黒ずくめの邪教徒スタイルの男たち。魔法陣の中央には美少年が一人、生贄だろうか。悪魔崇拝の邪教徒が何らかの儀式をしているのは見れば分かる。ベニーにとっては神聖真光軍に所属していたときに幾度となく見てきた光景、そして、これを無慈悲に皆殺しにした回数も数え切れない。ベニーは困惑した「神聖真光軍を辞めてまで邪教徒狩りとはどういうことだ」と。いつもであれば躊躇いなく銃爪を引けるはずだが、今回はなぜか手が震えて銃爪を引く手に力が入らない。
すると、邪教徒が儀式用のナイフを持ってベニー達に襲いかかってきた。エピナルはそれに対して拳銃を撃ち込み無慈悲に撃ち倒す。他の殲滅部隊も拳銃を撃ち込んで邪教徒を撃ち倒す。銃爪を引けないのはベニー一人だけとなっていた。
「さて、これで全員かな?」
エピナルは部屋のクリアリングに入った。邪教徒の死体が死屍累々と並ぶ。何度か死体を蹴り検死をするがピクリとも動かない。今回も楽な仕事だったなと考えていると、魔法陣にて三角座りでブルブルと震える少年のことを思い出した。
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