1 襲撃

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 そんな中、ホークロウはベニーに重要な任務があるとして屋敷に呼び出したのだった。 その屋敷、エリュホーム国の郊外の高級住宅街にある大豪邸。周りにある家は神聖教会幹部の家ばかりである。 「親父(ファーザー)、今日はどんな要件で」 ホークロウは葉巻を構えた。ベニーは職業病からかすぐにライターを出してホークロウの葉巻に火を点ける。ベニーがマフィアになって一番初めに覚えた仕事である。当初はベニーの方が先輩に点ける立場だったのだが、登りつめた今となってはベニーが葉巻の火を点ける相手は首領(ドン)のホークロウしかいない。 「おう、お(メェ)みたいな幹部に火点けさせるなんて悪いことしちまったな」 「いえ、親父(ファーザー)には軍隊辞めた半端者だった自分を拾ってくれた恩がありますので……」 「ま、カネだけ貰って捨てても良かったんだけどな。元軍隊なんてスパイを疑うのが普通だ。でもお前はよくやってくれた。カネも稼いでくる、抗争相手も殺ってくる。いいところしかねぇ」 「いえ…… 自分なんてまだまだ嘴の黄色いヒヨコです」 「ま、昔話はまた今度だ。これが成功したら独立して家族(ファミリー)持たせてやりてぇと思って呼んだわけだ」 ホークロウは自分の机の引き出しより、大きめの封筒を出した。ベニーは封筒を開けた。 中には一枚の印のついた地図と写真が数枚入っていた。 「こいつら、うちのシマに入ってきた海外の小さなチームなんだけどな」 「海外……」 「ユウヅツ教に反する悪魔崇拝者だって話だ」 それを聞いた瞬間にベニーは複雑そうな顔をした。その顔を見てホークロウが尋ねる。 「どうした? 顔色が悪いぞ」 「いえ…… それで、悪魔崇拝者達をどうしろと」 「決まってるじゃないか。いつもみたいに全員消してくれ。死体の処理は神聖教会に(ナシ)つけてある。気にせず元気に全員殺ってくれ」 「は、はい……」 「写真は主だった幹部共だ。こいつらを全員殺すのは勿論のこと、写真にない奴らも全員殺すんだ、いいな?」 「全員、ですか」 「生き残りがいると禍根を残す。忘れた頃に生き残りにブスリと殺られたらたまらねえ。それにこれが最優先事項(オーダー)だしな」 「最優先事項(オーダー)? 一体誰の依頼ですか?」 「お(メェ)が知る必要はない、いいから殺ってこい」 「はい」 「写真の奴らはいずれもロクでなしだ…… 若い衆連れて行って確実に全員消すんだ。いいな。全員を消すんだぞ」 全員を消す。やけに念を押されるのが気になったが、親父(ファーザー)の命令は絶対、疑問に思い何故と追求することは許されない。ベニーは武器と若い衆をかき集めて地図の場所であるエリュホーム国市街地中央にある雑居ビルへと向かうことにした。
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