8人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
アーケードのある古い繁華街から裏道へ一本逸れたところに、その店はずっと昔から、隠れ家のようにひっそりとある。純喫茶、つぶあん亭。
ここは、昔から変わらない、不思議な静謐さと活気とが同居した、つい長居したくなる店だ。
巧の目の前に、彼の待望の巨大パフェが置かれた。
次男の巧は、店の前のショーケースで食品サンプルを見るなり、「絶対これ食べる!」と駄々をこねて一歩も譲らなかった。
その名も、『プリンパフェ~つぶあん白玉フルーツ全部乗せ~』。
名前のとおり、そこにはオレンジにバナナ、キウイ、パイナップル、リンゴにイチゴと、あらゆるフルーツが、生クリームの中から顔を出している。
そしてフルーツの隙間に盛られた、つぶあんと白玉、抹茶味のソース。
てっぺんにはプリンと、その上に生クリームとチェリー。
グラスからして、普通のパフェの三倍はあるような大きさだ。
メニューにも、「3~4人前です」とちゃんと断り書きが書いてある。
オーダーするとき、ウェイトレスにも確認された。
最初のコメントを投稿しよう!