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自宅に帰ってシャワーを浴びた私は、夢か幻のような昨日から今朝にかけての出来事が一気に現実だとわかったようで、ベッドに横になるとすぐに寝てしまった。
目が覚めたのは、西から差し込む太陽がまぶたを透かしはじめた時間だった。
出かける準備をする。
メイクにいつもより時間がかかったのは、気のせい。
ブローをいつもより丁寧にかけたのは、気のせい。
「うーん」
クローゼットを開け放ったところで迷いはじめる。
別に、外に出かけるわけじゃないんだし。
でも、なんだか見せたくて。
玄関の明かりを消し、ドアノブに手をかけたところではっと気づく。
今日、もしかしたら泊まるんじゃ……。
(……延長したい)
(じゃあ、明日の朝まで)
耳元で交わした今朝の約束。
思い出すだけで顔がじんわりと火照るのがわかる。
かといって、泊まる前提な感じで用意しておくのも、気が引ける。
もしかしてのために、メイクセットと下着だけ持って行っとこう。
最低限だけ用意して、啓太の家に向かった。
ピンポーン!
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