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重ね合わせた唇は、温かくて、柔らかくて。
ゆっくりと離したら、今度は瞳と瞳をあわせて。
アルコールの残る吐息が肌をくすぐって、覚めかけの頭を再び酔わせる。
口を軽く閉じ、赤らめた頬を少しだけずらす啓太。
私も顔中が赤くなってるんだろうなあ。
……もっと。
火がついた気持ちは、目線を導火線にように伝わって。
言葉なんてなくったって、同じタイミングで。
目をつむり、顔を近づけ、寄せ合う気持ちを一点にして、くっつけあう。
さっきよりも、強く、長く。
息をする生物であることを忘れてしまうくらい、ぴったりと重ね合って。
二人の生暖かな吐息が、ミルクティーのように混じり合って。
胸の鼓動が共鳴して、部屋のなかを広がっていく。
「…いで」
鼻と鼻が触れるほどの距離なのに、この5分間の出来事に頭が酔ってしまって、をうまく聞き取れない。
ちょっとだけ横に首をかしげると、両肩をそっと掴まれ、ドキッとする言葉がゆっくりと紡ぎ出される。
「……脱いでよ」
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