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序章
すべてを、何もかもを、喪った
私にとっては、愛こそがすべてだったから
いっそのこと、死んでやろう、死のう、と思った
いえ、
そんなことを、真面目に考える力さえなく
思考力も、判断力も、決断力も、何も残っていなかった
あの人がいない日々は、まさに地獄だった
耐えがたい苦しみがいつまでも続く、はてしなく永い闇の中で
すべてから見放され、絶望の檻に閉ざされ
暗がりにひっそりと脚を抱え、ひとりうずくまりながら
このまま息絶えて、この世から消えてしまいたかった
明日なんて、私にはとても信じられなかった
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