辛杉家の憂鬱 シゲキ編

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「カレーは豚肉だよなあ?」  豚とも牛とも明言していない、中立派の妹に聞いてみる。 「えー、おいしければなんでもいいじゃん」 「豚肉のほうがうまいだろ?」  家の庭で豚のスリラーを撫でながら、リビングのソファに座るララを見る。ララは読んでいた漫画から顔を上げて、シゲキとスリラーのほうを向いた。 「正直なこと言っていい?」 「おうとも、はっきり言ってくれ」  男らしく聞いてみれば、ララはとんでもないことを言い放った。 「豚肉と牛肉の違いがわからない」 「はあ⁈」  びっくりし過ぎて思わずよろける。 「違いはわからないけど肉だなーって思うよ」  続くララの感想は追い打ちだった。肉だったらなんでもいいのか。いよいよ味覚が馬鹿になっているんじゃないのか。  よろけたシゲキは咄嗟に、スリラーの頭を撫でていた手を支えにしようと体重をかけた。しかし、途端に上がるブヒィという悲鳴。あ、まずい。
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