Scene.01 僕の歌

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Scene.01 僕の歌

かげろうは。 夢を見た。 その夢は見ることなら。 許される。 でも、許されることのない夢。 叶うはずない夢。 長く生きたい。 かげろうは。 自分の命の短さを。 ただ。 ただ。 恨む事しか知らない夢。 自分たちを捕らえ。 張り付けにして。 楽しむ服を着たサル達の夢。 叶うのなら。 僕の目をあげる、もう2度と君の姿を見なくても済むのなら。 僕の耳をあげる、もう2度と君の声を聞かなくて済むのなら。 僕の口をあげる、もう2度と君と口で話さなくて済むのなら。 僕の鼻をあげる、もう2度と君の香を感じなくて済むのなら。 僕の腕をあげる、もう2度と君に体に触れなくて済むのなら。 みんな、あげる、全てをあげる 僕の全てをあげる もう2度と君に合わずに済むのなら。 もう2度と君に触れずに済むのなら。 もう2度と君を感じなくて済むのなら。 僕はかげろう。 もうすぐ、朽ち果てるだろう。 その少なき命の間に、君と出会うことは回避できないであろう。 ただ、出会わない事を、願い生き続けるだろう。 なぜなら、僕も服を着たサルでもあるから。 その少なき命には、幸福は訪れないだろう。 でも。 僕は、その幸福を探したい。 たとえ、見つからないとしても。 そして、僕は旅立つのだ。
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