Scene.13 あいびりーぶ

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「じゃ、殺してくれるな?」  武さんの言葉に私は、凍りついた。  コロス?  コロスって何? 「それは、出来ない……  由香は、貴方の子供なのよ?」 「でも理香は、俺の子供じゃない」  ママは、何も言わない。  ママは、ゆっくりと私の方を見た。  ママと目が合う。  ママ? 「わかった……」  え? 「その代わり、武君、私と結婚してくれる?」  武さんは、ケラケラと笑う。  そして、こう言った。 「2人が死んだら考えてやるよ」  ママは、嬉しそうに武さんの体を抱きしめた。 「わかった。  明日の朝、2人を殺すわ……」  私は、その言葉を聞いた後怖くなって布団の中に潜った。  殺す……?  ママが、私を??  怖くなった。  怖くなった。  怖くなった。  怖くなって私は泣きたくなった。  私が泣く前に由香が泣いた。 「由香……?」  私は、由香の体を抱き上げた。 「由香……  お腹すいたの?」  由香は、返事をしない。  ただ泣くばかりだ……  いつもの夜泣きだと思う。  私は、由香を連れて家を逃げるように出た。  家では、ママと武さんが抱き合っている。  だから、ママにも武さんにも気づかれなかった。  私は、明日殺される。  由香も、明日殺される。  私は、いっぱい考えた。  いっぱい、いっぱい、考えた。  そして、私は考えた。  由香を隠そう。  私は、走った。  一生懸命走った。  由香を隠せる場所。  そこは、私は知っている。  絶対にばれない場所を知っている。  それは……  私は、駅に向かって走った。  家から駅まで結構な距離がある。  だから、私はヘトヘトになった。  そして、私はコインロッカーに由香を隠した。 「由香……  バイバイ……」  由香は、今眠っている。  カギは、かけない。  カギをかけてしまえば、警察の人が助けるのが遅れるかもしれない。  そしたら、由香は死ぬ。  だから、私は、ロッカーに鍵をかけない。 「由香……  優しい人に拾われてね……」  私は、走った。  家に向かって走った。  家に変えると、ママは武さんは、裸で抱き合っている。  私は、2人に気付かれないように自分の部屋に戻った。  私は、布団の中に潜り覚悟を決めた。  私も逃げればよかったのかもしれない。  だけど、もしかしたら、ママは、私を助けてくれるかもしれない。  そんな淡い希望が、私の胸の中にあった。
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