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にじのにじが空にかかって
空の君の気分も晴れて
きっと明日はいい日になる
きっと明日はいい日が来る
去年までは絶望だった誕生日。
でも今年の誕生日は暖かい。
きっと明日もいい日なんだ。
そう思った。
そう思うことにした。
そっちの方がしあわせになれる。
そんな気がした。
そんなことを自由に報告した。
「それは影無くんが優しいからだよ」
「え?」
「ほら、世の中にはそういうの嫌がる人もいるじゃん?」
「そうだね。
でも自由さんも優しいと思うよ?」
「え?どうして?」
「優しいを優しいと感じる人がいちばん優しいんだ」
最近太郎はそれを感じていた。
優しくない人に優しさは伝わらない。
優しさを優しいと素直に感じる人は人に優しくなれる。
「じゃ、やっぱ影無くんも優しいんだ」
「そっか」
「うん」
「はぁ。私も影無くんになにかあげたかったな」
「え?僕はいつも貰ってるよ?」
「私なにかあげた?」
「元気を貰ってる」
太郎がそういうと自由の顔が赤くなる。
「照れるじゃん」
「え?」
太郎も言ったあと自分でそのことに気づき顔が赤くなる。
「えっへへ。
じゃ影無くんにはいつでも私とキスしていい券をあげよう!」
「キス?」
「うん、チューだよ。
私のファーストキス」
太郎は顔を赤くさせる。
照れる。
「じゃさ今でも??」
「へ?今?」
自由も照れる。
「う、うん」
太郎は自由のベッドに座る。
「じゃ、よろしくおねがいします」
自由が目を閉じる。
太郎も目を閉じる。
でも顔は近づかない。
太郎にはいま一歩近づく勇気がない。
でもキスはしたい。
「自由!着替え持ってきたよ」
十三がそういって自由の部屋に入ってくる。
慌てて離れる太郎。
「……あ」
自由が目を開ける。
「えっと……」
太郎が顔を赤くする。
「うん」
自由が小さく目をそらす。
「じゃ僕は帰るね」
「あ、うん」
自由が泣きそうな顔になる。
「……じゃ」
太郎は更に離れる。
「明日も来てくれるかな?」
自由は泣きそうな顔でいった。
「うん、毎日来るよ」
「うん」
太郎のその言葉に自由は安心した。
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