Scene.14 君に伝えたい言葉

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「あの……ひとつ聞きたいことがあるんですがいいですか?」 「なにかな?」 太郎は不思議に思っていたことを千春に聴いた。 「自由さんは本当に白血病ですか?」 「え?どうして?」 「自由さん言っていたんです。  自分が助かるってことは誰かが死んだことになるんだって……  自由さんは白血病なので脊椎移植かな?って思ったんですけど。  脊椎移植とかのドナーって亡くなった人からは貰わなかった気もするのですが……」 「そうだね、確かになにか勘違いしてるのかも……」 千春がそういうと自由が病室に戻ってきた。 顔が暗い。 「自由さんなにかあったの?」 「脊椎移植ってね脊椎を摂って移植するものなんだと思ってた……」 自由の言葉に太郎は首をかしげる。 「えっと確か骨髄液を採取はするけど脊髄はとらないかな。  多分」 「さっき銘さんに教えてもらった」 「……そっか」 「誰も死なない。よかった……」 自由は小さく涙を流した。 「うん」 「影無くん知ってたの?  『その人の分まで生きなきゃ』って言ってなかった?」 「僕は実は白血病じゃない心臓とかの移植手術かと思ってた」 「そっか……」 「恥かしい」 自由は顔を赤らめた。 「……気にしない気にしない」 銘が優しく自由の肩を撫でた。 「あ……」 自由がなにかに気づく。 「どうしたの?」 「影無くん時間大丈夫?」 「あ、今日は大丈夫だよ。  バイトはお休み」 「そっか」 「じゃ、朝まで語ろう!」 自由の提案に銘が否定する。 「ダメ!自由ちゃんは休まないと!」 「えー」 「『えー』じゃない」 「だって今日は眠れない気がするんだもん」 「子守唄歌おうか?」 太郎がそう言うと自由が笑う。 「じゃ、添い寝して。  眠るまで私の手を繋いで!」 「んー、添い寝だけならいいよ」 「えー、それだけで済むの?」 「済まないよ?」 「お?」 千春がなにか嬉しそうな顔になる。 「手を繋ぐ」 「それでそれで?」 自由の顔が明るくなる。 「その手を上に」 「上?どこどこ?それからそれから?」 「その手を下に」 「下!!!どこだどこだ?下の次は?」 「頭に」 「頭?」 「うん、そのあとは膝だよ」 「なんの話してる?」 「むすんでひらいて」 「なにそれ?」 「童謡かな?」 周りが静かになった。 「自由、着替え持ってきたよ」 そして十三のその言葉で場は解散した。
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