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「あの……ひとつ聞きたいことがあるんですがいいですか?」
「なにかな?」
太郎は不思議に思っていたことを千春に聴いた。
「自由さんは本当に白血病ですか?」
「え?どうして?」
「自由さん言っていたんです。
自分が助かるってことは誰かが死んだことになるんだって……
自由さんは白血病なので脊椎移植かな?って思ったんですけど。
脊椎移植とかのドナーって亡くなった人からは貰わなかった気もするのですが……」
「そうだね、確かになにか勘違いしてるのかも……」
千春がそういうと自由が病室に戻ってきた。
顔が暗い。
「自由さんなにかあったの?」
「脊椎移植ってね脊椎を摂って移植するものなんだと思ってた……」
自由の言葉に太郎は首をかしげる。
「えっと確か骨髄液を採取はするけど脊髄はとらないかな。
多分」
「さっき銘さんに教えてもらった」
「……そっか」
「誰も死なない。よかった……」
自由は小さく涙を流した。
「うん」
「影無くん知ってたの?
『その人の分まで生きなきゃ』って言ってなかった?」
「僕は実は白血病じゃない心臓とかの移植手術かと思ってた」
「そっか……」
「恥かしい」
自由は顔を赤らめた。
「……気にしない気にしない」
銘が優しく自由の肩を撫でた。
「あ……」
自由がなにかに気づく。
「どうしたの?」
「影無くん時間大丈夫?」
「あ、今日は大丈夫だよ。
バイトはお休み」
「そっか」
「じゃ、朝まで語ろう!」
自由の提案に銘が否定する。
「ダメ!自由ちゃんは休まないと!」
「えー」
「『えー』じゃない」
「だって今日は眠れない気がするんだもん」
「子守唄歌おうか?」
太郎がそう言うと自由が笑う。
「じゃ、添い寝して。
眠るまで私の手を繋いで!」
「んー、添い寝だけならいいよ」
「えー、それだけで済むの?」
「済まないよ?」
「お?」
千春がなにか嬉しそうな顔になる。
「手を繋ぐ」
「それでそれで?」
自由の顔が明るくなる。
「その手を上に」
「上?どこどこ?それからそれから?」
「その手を下に」
「下!!!どこだどこだ?下の次は?」
「頭に」
「頭?」
「うん、そのあとは膝だよ」
「なんの話してる?」
「むすんでひらいて」
「なにそれ?」
「童謡かな?」
周りが静かになった。
「自由、着替え持ってきたよ」
そして十三のその言葉で場は解散した。
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