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そういえば、と。ナギトはニーナの立場を思い返す。
(修行の旅に出るために護衛を雇ったが、それに裏切られる。つまり、今は誰も護衛がいない……か)
ナギトは日本のことわざを思い出す。
“袖振り合うも多生の縁”。
「ああ、そちらも引き受けよう」
「本当ですか! ありがとうございます!」
「その代わり、俺の仕事も手伝ってもらう。各地で出現している瘴気の調査と根絶だ」
「瘴気……? そんな話は聞いたこと無いですが……。ええと、私は宛の無い旅をする予定だったので、目標ができるのはむしろ助かります」
「そうか、なら良い。早速、情報を聞きに行くぞ」
ナギトは受付嬢に声をかける。
「王都セントラル周辺で、瘴気……毒ガスや疫病の報告はあるか?」
「え? ええと、どうしてそんなことを……」
「いいから教えろ」
「は、はい……。セントラル周辺では無いはずです。でも、西の首都ウエストの方で疫病が流行っているとか何とか、風の噂で聞きました」
「ふむ……感謝する」
「あ、ナギトさんには色々と聞きたいことが…………………待ってくださ……待っ…………」
ナギトは受付嬢から即座に離れ、ニーナと共に冒険者ギルドから出た。
先程のひと悶着で注目を浴びるのが嫌になったからだ。
「どうでしたか?」
「西の首都ウエスト周辺に情報がありそうだ。そちらに向かうぞ」
「ちょうど私が行こうとしていた所です。それじゃあ案内しますね!」
「頼む」
こうして、旅の回復術士ニーナを仲間に加えたナギトは、瘴気の情報を求めて西の首都ウエストへと向かったのだった……。
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