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そうして、開けた場所に出た。
獣道ではなく、明らかに人が通るために開かれた土の道。
辺りを見渡す。
倒れこむ少女と、それを囲む男が3人いるのが見えた。
ナギトは瞬時に状況を判断する。
「……誰か! 誰か助けてっ!!」
その言葉で、ナギトの疑念は確信に変わった。
(丁度いい。彼女を助ければ、現地協力者として役に立ってくれそうだ)
……そんな事を考えながら。
「おー、嬢ちゃん。そんな大きな声も出るんだなぁ。ま、誰も助けになんか来ねーがなァ!」
「そうだぜ、おとなしく黙ってろ!」
何はともあれ、助けなければならない。
ナギトは魔法を使う準備をした。
そう、水を自在に操って敵を倒すイメージを固めるための、準備だ。
「──黙るのはお前らの方だ。汚物ども」
質量を持った水の塊を射出する。
男たちは咄嗟のことで身動きが取れず、勢いのまま吹き飛ばされて木に激突した。
3人とも気絶した所で、少女は助けが来たことに安堵する。
少女は、見慣れない装束に身を包み、緑に光る宝石がはめ込まれた杖を抱えていた。
ナギトが元いた日本では見たことの無い格好だ。
「……えっと、あの。助けてくれて、ありがとうございます。仮面と……鎧のお方」
「鎧に仮面? いや、これは……ガスマスクと防護服だ」
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