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「俺はもうだめだどうしても身体が動かない。 ここままゆっくり眠りた
い……」
時刻は終電間際の午後十一時四十分。
サラリーマンたちの姿が数人しか見えなく、働いている社会人たちのほとんどは家で寛いでいる時間。または寝ている時間であろう。
冒頭で独り言を言っているのは篁伊織二十二歳。彼は家の事情により高等学校卒業後に働かなくてはならず、そのまま就職をした。
伊織は耳までかかる短髪と眉毛の辺りまである髪の長さをしている。また、二重の目元と鼻筋が通り、痩せ型の体型をしている。身長は百七十五センチの高めである。伊織の就職先は総合商社であり、そこで多くの職種を経験していた。それゆえに手伝わされることが多く、そのお人よしと言われる性格からか断ることが出来ずに残業を毎日していたのである。
「もうダメだ……この世界から消えたい……父さん……母さん……ごめんな……」
彼の手には二つに破かれて返された退職願と書かれた紙が握られていた。止めることもできずに彼は悶々とした日々を送り続けていた。
「降りる駅だ、降りなきゃ」
伊織がそう呟くと、一瞬目の前が霞んだ。次に目を開けると目の前には電車が迫っていた。
「どうして電車が……あ、自然と飛び降りていたのか。 さようなら父さん、母さん……」
伊織がそう笑顔で言葉を発すると、身体が眩い光で包まれた。伊織は何が起きたと理解が追い付かずにいると、そのまま伊織はその世界から消えた。伊織の耳には身体が消える瞬間に、世界を救ってと微かに小さな声で聞こえていた。
「ここはどこだ?」
伊織の目の飛び込んだのは、汚い路地裏であった。そこにはプラスティックのゴミや家庭内のゴミが多く捨てられていた。
「何でこんな場所に……それより俺はどうなったんだ? ここはどこだ?」
伊織はそう呟きながら路地裏を出ると、伊織の目に不思議な光景が映った。それは人間たちが多く道を歩いている中で、小さな角を生やしている身長が小さい人間と思える姿をした人や、多様な動物の耳や尻尾を生やしている人々の姿があった。
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