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談雑5:ネタバレの根(ロカゼミ)
「“ロカゼミ”は、エブリスタさんに投稿した初めての作品です。司さんは、私の書く物語が長い長いと言いふらしているので、比較的短いものをまずは出してみた次第です。どうでしたか?」
「短めという点では良かったんじゃないですか? なんなら、この場を借りて作品の紹介でもしておきますか?」
「え? どうしたんですか? 今日は親切ですね」
「親を切り刻むと書いて『親切』とは、これ如何に?」
「刻んではいないですけどね。それ、モノの本によると、“親”は『おや』ではなくて『親しさ』のことだそうですよ。あと、“切”は『強く思う』という意味だそうです」
「あー、なーるほどー、それで“親切”と書くようになったんですねー。……ってなるかー!! 説明になってねえ! 説明になってねえぜ!」
「あーあ、切れちゃった。まあ、そのうちわかる日が来るんじゃないですか? 何かがきっかけでね」
「『何か』って、何? 左くん、適当なことは言わないでください」
「ごめんなさい」
「あれ? いやに素直ですね? どうしたんですか? 拾い食いでもしました?」
「この件を早く流したいだけです。“ロカゼミ”の紹介の方、お願いしますよ」
「フっ、頼まれたらやるぜ!」
「では、どうぞ!」
「わたし、蝉、苦手」
「いきなりネガティブですね」
「やめとく?」
「いやいや、続けてください。確かに、蝉が苦手な人、いますよね。でも、大抵は女の子ですけどね」
「わたしは女の子です!」
「っていうアピールをしなければならないほど、日ごろからご自身の醜態に苦しんでいるんですね」
「あ? ぁあ? ワレ、わしにケンカ売っとんか!? お? おぉ!? おまえに頼まれたからやっとんねんぞ、コラ!(ニコニコ)」
「ニコニコしながらのドスの効いた声が怖いなー。シナプスの繋がり方が正常ではないんでしょうね。大丈夫ですか?」
「オ!? ワレ! スイカに太いストロー突き刺して果肉ごと果汁チューチューしたろうか! お?(ニコニコ)」
「それって、ロカゼミですよね」
「きゃ、こわい~ぃ」
「……えーと、そろそろ紹介に入っていただけませんかね」
「わたし、一郎くん、嫌いじゃない」
「え~と……あそう、で、そりゃまたなんで?」
「だって、一途じゃないですか。あそこまで惚れられたら、女の子は落ちますね、普通」
「でも、明美ちゃんは落ちてませんよね? 落ちそうだけど」
「これから落ちるんだって、絶対そうよ!」
「はいはい、そうかもしれませんね。で、そのですね、そろそろ紹介の方してくださいよ」
「わたし、一郎くんのお母さん、嫌いじゃない」
「……え~と、紹介はこの調子で行くのかな?」
「だって、一郎くん育てるの、絶っ対、大変だったよ。わたしも小学生の時、同じクラスに一郎くんみたいな男の子いたけど、お母さん、しょっちゅう学校に来ていたよ。毎日心配が絶えなかったに違いありませんよ」
「そうだったでしょうね。司さんは、その男の子と仲良くしてあげていたんでしょうね」
「『あげていた』? これは出ましたよ、上から目線の問題発言! その表現は、個性に対する偏見ですね。じゃあ何ですか? ハンデのある人間は、ない人間に劣っているのですか?」
「そういうつもりで言ったんではないですよ。……でも、不快にさせてしまったようですね。すみませんでした」
「ん、よし、赦してつかわす。(ニコニコ)」
「怒っていたと思ったら、瞬時に微笑むことができるんですね。すごい切り替えですね。状況を180度方向転換させる能力、という点では、この作品の中に出てくる奇跡を起こす蝉のようですね」
「わたし、蝉、嫌い」
「……みなさん、これで読む気になれます?」
「あとね、あと、わたし、中島先生、好き!」
「あー……はいはい……ダメだな、こりゃ(ため息)」
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