2:Don't approach.

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1日が終わってしまうと、俺は寮ではなくアパートへと帰る。 寮なら、会社から徒歩10分以内、家賃は本人負担月1万円と聞いて少し心は揺れているが、1年付き合っている恋人と同棲中な為、人事担当の社員からの説明時には即決が出来ていなかった。 なので俺は今電車の中だ。 毎日朝晩、これから30分ずつ満員電車に揺られるのかと思うと気が重くなる。 「ただいまー・・・」 何かがおかしい。 俺は、居間の扉を開け放った。 そこにいた2つの裸の生き物。 「・・・あら、あららら、そりゃあ悪かったな~、でもさ、ここ、俺んちだから。出てってくれる?」 動きを止めた恋人、和弥。 ベッドの上で絡み合っている二人は男と男。 そう、男と男。 俺は恋愛対象が女でも男でもOKなバイセクシャルだ。 今の彼氏は和弥。だった。 今この瞬間からは違う。 和弥と対面座位で真っ最中だったのも男。 俺はリビングから玄関へ続く扉を全開にし、脱ぎ散らかされた2人分の衣類をゴミ袋へと突っ込み、玄関の外へと放り出した。 そのまま、和弥の私物を手当たり次第違うゴミ袋に詰めて同じように投げ捨てた。 「な、なぁ、透真・・・」 「・・・あん?お前なんか知らねぇよ、とっとと消えろ」 呆気に取られている相手の男と、弁明しようと近づいてきた和弥を纏めて玄関の外に押し出して鍵を掛けた。 早く窓を開けて、生々しい行為の臭いを追い出したかった。 しばらくベランダでぼーっとしていると頭は冷静になってきて、振り返った室内にある共同で使っていた物や、和弥の存在を思い出しそうな物が目につき始める。 「・・・寮に移るきっかけができたな」 家具や嵩張るが物自体大してなかった部屋は、いらない物を捨ててしまえば、がらんとしただけのなんとも寂しい部屋になった。 適当な段ボール箱に詰めた衣類や日用品もその数は知れていて、それを部屋の隅にまとめた後、退去したいとアパートの管理会社に連絡をし、必要なだけの荷物をバッグに入れて部屋を出た。
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