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喫茶店が趣味の小物売り、ティー。
俺がティーと出会ったのは、ハルベル岬からラシェラの山を経由してこの街に来る途中だった。
ティーはこの街からラシェラの山を経由して、ハルベル岬に向かう途中。行き先は真逆だったのに、何故か不思議と気が合った。
「葉っぱはね。地面に落ちたら土になるの」
最初のティーの言葉は、今でも覚えている。
「だからお湯に注いで、湯気を立てて、空に向かって飛ばしてあげるの……そうしたら葉っぱもね、きっと天国にいけるの」
茶葉を天国に送る小物売り、ティー。
俺が天使売りを始めた日、ティーは誰の許可も得ずに喫茶店を開いた。本業は小物売り。喫茶店はあくまで趣味……客は俺とミハイル・G・ベイカー。許可なく飲食店を作るのは違法だが、俺達が黙っていればいい話だった。
「天使が育ったらさ。叶えて欲しい願いがあるんだ」
初めて俺に紅茶を振舞った時。茶葉に湯を注ぐ瞬間、ティーは泣いていた。
穏やかに登る煙は、確かに天国に続く螺旋階段にも見えた。同時にそれを作っているティーが泣いているのは、どうにも不釣り合いな気もした。
「ローマンシャンに畑を買って、そこをお茶でいっぱいにしたいな……」
その願いを叶える為に、俺はあと何匹の天使を育てればいいのだろうか。
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