Chapter3

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Chapter3

「これは珍しい。虹色天使ですな」    俺の家に来たミハイル・G・ベイカーは、珍しそうに水槽の中の天使を眺めた。深い皺の刻まれた顔からは、輝かしい喜びが湧き出ているようだった。 「虹色天使? 」 「ごく稀に見つかる珍しい天使です。羽全体が薄黒く染まりますが、成長すれば七つの翼が七色に輝くと言われています……天然物の純白種なんかよりも、よほど珍しい種類ですぞ」  ミハイル・G・ベイカーは嬉々として語っていたが、正直俺はピンときていなかった。虹色の翼の天使なんて見たことがなかったし、G・ベイカーが冗談を言っている可能性もある。 「いやぁ、もし育ったら素晴らしいですなぁ……砂糖くん。この事は秘密ですぞ。他所に漏れたら強奪されるかもしれません」  厄介なものであれば、さっさと手放した方がいい気もするが。  しかし本当に虹色の羽の天使になるなら、それを見てから手放してもいいだろう……ついでに一つくらい、願いを叶えてもらってから。
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