初恋 ~遠い思い出~

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心配した娘婿が 私を病院に連れてゆけと 夫と娘をせっついたが いつもポワッとしているのだと 相手にしなかった こんな人達だったかと 夫と娘に思ったが 別に悲しくも感じなかったし ただ娘婿に申し訳なく思い ありがとうと頭を下げた その頃から次第に 家事が手につかなくなり 共働きの娘夫婦と 洗濯物も畳めない夫との生活では 家の中が荒れた 私を咎める娘、それを咎める娘婿 娘婿との中を疑い出す夫 それを真に受け泣き喚く娘 疲れて家を出てゆく娘婿 修羅場とはこういう事かと 他人事のように遠くに感じた そうして 娘婿が出てゆく際に お義母さんは病気なのだと 病院に連れてゆけと 改めて夫や娘に言っていて それを聞いた私は自分の病に 気付いてしまったのだ
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