ケース2️⃣ 前世呪怨

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店先で騒ぐ不良たちを冷ややかな目で見つめる叶恵。 不良たちは慌てて謝る。 「すいませんでした。呪いはかけないでください。」 そう言うと、早々にこの場を歩き去っていく。 そして不良たちは、随分と待ちくたびれていたのか、すぐにたこ焼きのパックを開け、それぞれ食べながら歩いていった。 すると、店からおよそ10メートル程離れた辺りで、突然大声で騒ぎながら、たこ焼きを口から吐き出す不良たちが見える。 「うえっ!何だ、このたこ焼き!メチャクチャ辛い!辛すぎる!水〜!」 店内でそれを確認した叶恵が、満足そうな表情で、一人ボソリと呟いた。 「不良ども。大好きだろ、唐辛子。」 それから、どれぐらいの時間が経っただろう。店の中で雑誌を読みながら、(くつろ)いでいる叶恵の姿があった。客が来ない時は、大概こうやって過ごしているのだ。 今まで雑誌に目をやっていた叶恵が、ふと何かに気が付き、店の外へと目を移す。 店から約5、6メートルの所に、一人の少女が立ったまま、こちらをじっと見つめていた。彼女は電柱の側に立ち、長い黒髪で、しかも真っ黒なワンピースを着ている。肌は透き通るような色白で、この位置から見ても綺麗な娘だと分かった。 叶恵もじっとそのまま、その少女を見ていたが、彼女も一向に動く様子もなく、ただこちらをじっと見ている事に疑問を抱く。 程なくして叶恵は、もしやたこ焼きを買いに来たのだけど、勇気がなくて店まで来れないのではないか、と思い、気を利かせて声をかけてみた。 「いらっしゃ〜い!どうぞ!たこ焼きありますよ〜!」 しかし、少女は何も言わず、身動きする事もなく、その場に立ったままだった。 仕方なく叶恵は、手に持っていた雑誌を側のテーブル台の上に置いて立ち上がり、調理場からカウンター台を横切り、店の表まで出て行った。
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