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次の日。
いつものように、額に汗を滲ませながら、たこ焼きを焼く店主・叶恵。
そのたこ焼きを店の前で待つ、女子高生が4人。その間も、ワイワイとお喋りの会話が辺りへと響き渡った。
「えぇ〜、マジで⁈ 怖すぎ!」
「でしょ! 私も聞いた時、トイレ行けなかったもん。」
「私、マジ無理〜。」
「それ最近、噂でよく聞くよね。」
たこ焼きの焼ける音が、小さなBGMとして聴こえている。辺りを気にせず、店先の道路で会話に熱中する女子高生たち。
「この前、先輩にも聞いた話なんだけど。ほら駅前の病院。」
「あ、その話知ってる〜。そこでも、黒髪の少女がじっと立ってるんだよね。」
「マジで怖いから、もうやめてよ。」
「それで、その少女はスッと消えてしまうんだって。」
そんな事を話しながら、時々叫び声が混じる。
やがて、
「はい、お待ちどう。たこ焼き、出来たよ〜!」
と、叶恵が店の中から声をかけた。女子高生たちは会話を途中でやめて、一同に店まで近寄ってきて、お金を支払い、たこ焼きを受け取る。
そこで、叶恵が尋ねた。
「ねえねえ。さっきから話してた事って、霊の話?」
女子高生のうち一人が答える。
「そうなんですよ。最近、時々噂が流れてて。」
叶恵が、さらに聞き返す。
「その、さっきの少女の霊って、全身黒い服を着てない?」
そう尋ねられて、女子高生たちは少し躊躇した表情をしながら、お互いの顔を見回した。そして、首を傾げたりしながら答える。
「いえ、確か黒い服じゃありません。」
「私が聞いた話も、黒い服じゃないね。」
「聞いた話の少女は、真っ白な服を着てるって。」
その返答に叶恵は、思惑が外れたと期待を裏切られた気がした。そして、
「そう。」
とだけ返す。女子高生たちは、その後立ち去っていった。
叶恵は店内で、どこか晴れない気持ちを抱えたままでいるのだった。
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