ケース2️⃣ 前世呪怨

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突然、明かされた真実に、黒木家一同はまだ信じられずに困惑していたが、まず宗一郎が口を開いた。 「・・とりあえず、この事が分かった以上、放っておくわけにはいかない。真理。まず警察に行くんだ。」 そう言われて、涙を拭いていた真理が返答する。 「・・・そうよね。その通りね。分かったわ。」 葵は堪らず、泣きながら真理の身体にしがみついた。 「ママ〜〜〜イヤだあ〜!」 真理は、泣きつく葵の顔を見ながら、説得する。 「葵。分かって。これは、私がしてしまった事。罪は償わなければならないのよ。」 それでも泣きながら、葵が言う。 「私が悪かったの? 前世なんか知らなければ。前世なんか見なければ。ママ〜!」 「違うわ。それは、違う。私が犯した罪なのよ。」 嗚咽しながら、俯く葵。 英彦も、涙を拭いながら言った。 「では、わたくしは、車を出せるよう準備してきます。」 そうして、リビングを出ていく。 「私も、部屋ですぐに準備してくるわ。葵。ここで待っていて。」 葵を説得した後、真理もリビングを後にした。 リビングに残った葵と宗一郎。 また葵が泣きながら、宗一郎に駆け寄った。 「パパ。ごめんなさい。私が前世なんか知ろうとしたせいで・・・。」 「何言ってるんだ、葵。ママも言っていただろ。葵のせいじゃないんだよ。」 宗一郎が慰めた。 「違う。私がいけなかったの。前世なんか調べたりしなくても、真実なんか知らなくても良かった。それまでの私たち家族は、充分幸せだった。」 宗一郎と葵は抱きしめ合った。 そして、そっと宗一郎が尋ねる。 「でも、さっき後ろから話しかけてきたのは、・・・明日香、だったんだろ?」 葵が、宗一郎を見つめた。 「私の中に、前の奥さんだった、明日香さんの記憶が蘇ったの。」 宗一郎の目からも涙が溢れる。 「明日香が亡くなって、ずっと寂しかった。生きる希望を失い、何をして生きていけばいいか。いつも展望台に行ってみては、明日香の事を思い出していた。何度か、いっそのこと俺も死んでしまったほうが・・・と思ったが、結局死ぬ勇気さえなかったんだ。」 また、宗一郎と葵は抱き合っていた。
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