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「仕事を紹介してもらっているのに、何が不服かね」
「どうしてそのこと、知ってるんです? ハローワークの方ですか?」
「いや、違う。私は鉄拳制裁・世直し次郎だ。それ以上でも以下でもない」
「あなた、元ヤンですか? その金髪のカツラ、何なんです?」
「カツラでは無い。地毛だ。貴様が悩んでいるようだから、やってきたのだ」
「悩み…。大学院まで出た俺が、なんで時給900円ぽっちで障碍者のサポートしなきゃいけないのか、…こんな仕事しかもらえないことが、悩みといえば悩みですけど」
「まあ、900円は安すぎると私も思う。高齢者施設でもそうだが、重労働でこの値段では、働き手は減る一方だろう。行政はこのことをもっと真剣に考えねばならぬ。だが貴様は無職だろう? 見たところ、体のどこも悪くないようだ。家に引っ込んでるよりは、900円でも外に出て社会貢献するほうが良いではないか」
「だって、知的障碍者ですよ? 何されるかわかりませんよ。ネットに書いてたんですけど、世話してるのに引っ掛かれたり叩かれたりするって…」
「鉄・拳・制・裁ッ!」
突然、世直し次郎は叫ぶと、革手袋を嵌めた拳で哲朗を殴った。
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