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しかし、その露にした怒りは極めて静かなものだった。
「ハッキリ物申します。
他のチームを妨害しに大会へ参加したのなら、今すぐ棄権してください。
真面目に競技で闘って欲しいんです。
私の容姿はいくらでも罵ってくれて構いません。
私達のチームを馬鹿にしたいなら、正々堂々勝ってから正面から直接言ってください。
最後に言いますが、私達のチームを馬鹿にする、そんなにふざけた事するチームなんかに負けませんから」
綾音はそう言い残し、整備専門学校生4人のチームのパドックを後にした。
唯は怒りに任せて叩き壊した電子タバコの破片を踏みつける。
柚葉はその場で嘔吐を吐き捨て、真凜は綾音が去る後ろ姿をSNSの動画配信でカメラを向け続ける。
……しかし、カラフルな髪の少女だけは、どこか申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
「私だって、仲間と一緒に頑張って86を作ったんだ……
卑怯な事しなくたって、本当は正々堂々と闘いたいよ‥‥」
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