6人が本棚に入れています
本棚に追加
よく見ればエリーは、神流が悩んでいる問題の二つ前にある問題の時点で悩んでいた。
たしかにそれはエリーに対して酷な質問だった。
「すんなり納得されるのも、なーんか納得いかないけど」
「そう言いながら解答ページを見ようとしない」
「ちぇーっ、ミズキくん目ざとい」
悔しそうな声だけを神流に返すエリー。
「ミズキ、スケベだ」
「待てコラ」
どうしてそうなった。
神流を容赦なく睨む。
どういう回路で繋がったらそういう答えが出てくるんだ。
「そうやって女子のこと見てー」
「ハイハイ」
色目を使っていた、とでも言いたいのだろう。
何てことはない、いつものことだった。
「ノって来なさいよ」
「ヤだよ、めんどくさい。っていうか、余計なこと言ってくるな。集中できないだろ」
会話の内容はいつも通り、内容なんて無い話ばかりだが、声量はいつもの八割減といったくらいだろうか。
これでも一応は、周りのことを気にしているつもりだった。
「……っていうか、今気付いた。ミズキ、アンタその問題出来てんじゃん」
「えっ」
最初のコメントを投稿しよう!