1-1. もはや恒例行事

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 よく見ればエリーは、神流が悩んでいる問題の二つ前にある問題の時点で悩んでいた。  たしかにそれはエリーに対して酷な質問だった。 「すんなり納得されるのも、なーんか納得いかないけど」 「そう言いながら解答ページを見ようとしない」 「ちぇーっ、ミズキくん目ざとい」  悔しそうな声だけを神流に返すエリー。 「ミズキ、()()()だ」 「待てコラ」  どうしてそうなった。  神流を容赦なく睨む。  どういう回路で繋がったらそういう答えが出てくるんだ。 「そうやって女子のこと見てー」 「ハイハイ」  色目を使っていた、とでも言いたいのだろう。  何てことはない、いつものことだった。 「ノって来なさいよ」 「ヤだよ、めんどくさい。っていうか、余計なこと言ってくるな。集中できないだろ」  会話の内容はいつも通り、内容なんて無い話ばかりだが、声量はいつもの八割減といったくらいだろうか。  これでも一応は、周りのことを気にしているつもりだった。 「……っていうか、今気付いた。ミズキ、アンタその問題出来てんじゃん」 「えっ」
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