1-9. 浮き足立つ僕ら

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 ぱりぱりと気持ちの良い食感に浸りながら、もう一ページめくる。 「ふむふむ」 「なるほど」 「はー……」 「……」  こっそりと音楽のボリュームを二段階ほど下げて、大して目も通さないままに次のページへと移る。 「あ、ちょ、早い!」 「待って、まだ右のページ見れてない」 「ウソ! オレなんてまだ左も読めてない」 「お前ら?」  ダメだ。もう少し我慢してスルーしてやろうと思ったが、思った以上に圧が強い。  おとなしく音楽を切って、いつのまにかボクの両脇と真後ろを固めていた祐樹(ゆうき)大輔(だいすけ)、すみれの三人を振り向きざまに見遣る。  トリオ芸人のように、似たような動きで「あはは……」なんて言っている。  ――と、さらにすみれの後ろにもうひとり分の人影があった。  仲條(なかじょう)亜紀子(あきこ)だった。  大方ずかずかとボクの方に近付いていったすみれを止めようかどうしようか迷いながら、結局彼女についてきた、という感じだろうか。 「いやさ。ちょっとばかし最終確認を」 「お前らはこれの写しを持ってるだろ?」 「それはそれ、これはこれ」
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