1-9. 浮き足立つ僕ら

4/9
前へ
/82ページ
次へ
「それは銀ちゃん先生が好きそうなワードだから、ザ・中間テスト対策ってヤツ。入試には出ないかも知れないけど、各学校の裁量なら充分あり得る」 「それもそうか」  大輔はただ丸写しじゃなくて、用語集も開きながらのノート書写の作業をしてくれていたらしい。  しかも『自分はやってない』ような雰囲気を装いつつ話しかけてきたけれど、きっちりと覚えるべきところは覚えているようだ。 「大輔ってさ」 「ぁん?」 「……鷹だよな」  爪を隠す的な意味で。 「……ん? あ、ああ、そういうこと? へへん、ようやく気付いたか」 「もう少し察しが良くなれば言うことないんだけどな」 「それは今後の成長に乞うご期待、ってことでひとつ」 「おう」  話を振っておいて適当に答えておいた。 「みずきくん、みずきくん」  今度はすみれだ。 「はいよ」  結局昼休みはパンを片手に、この四人と最終確認をすることになった。  訊かれたことに答えることで、ひとりで復習するよりはイイ勉強になったのは間違いない。  ――そう思っておくことにした。        ○
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加