1-9. 浮き足立つ僕ら

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 試験終了を告げるチャイムが鳴り響く。  それと同時に安堵のため息が教室に充満した。  長かった定期考査もようやく終了。  最後の科目は、個人的には嬉しい日本史だった。  事前の対策は思った以上に大当たり。  これは出してくるだろうと予想していた選択式の問題は、そのダミー選択肢さえも的中した。  大輔たちが来ていた最中に何となく口にした内容だったが、果たして――。 「……おぉ」  視界の隅の方で何やら小さな影がもぞもぞと動いていた。  その正体が何かと思えば、大輔(だいすけ)。  テレビの生放送中のカメラの前ではしゃぐ小学生のような動きをしていた。  何かと思いつつ顔を向ければ、大輔はこちらに向かってウインクなんてしながら、教室の天井に突き刺さるような勢いで親指を立ててきた。  どうやらバッチリ解答できた問題があったらしい。  それは良かったとばかりに、こちらもヤツにサムズアップを返してやることにする。 「……ん?」  そのまま前を向くかと思えば、大輔はガタガタと騒々しく椅子の上で座る向きを変えてきた。 「マジ、サンクス!」 「おお」  圧される。
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