1-9. 浮き足立つ僕ら

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「お前、スゴくね!? 出そうな問題当てるならともかく、一問まるごと当てるとかさ!!」 「たまたまだよ、たまたま」  ある程度は予想の範疇だったから言ったけれど、とりあえず面倒なのでそれくらいで流しておくことにした。 「次回も頼りにしてますぜ、海江田(かいえだ)センセ」 「やめれ」  そこまでの信頼を受けてしまうと断りづらい上に、成果を出さないといけなくなるじゃないか。  これでも自分の解答だけで手一杯なのに――。 「おつかれーぃ」 「祐樹もおつかれー」 「……おう」  お次に寄ってきたのは祐樹だった。  彼も大輔ほどではないにしろ、ゴキゲンだった。  昨日の数学終わりのげっそり感とは全く違う。  心のゆとりのようなものも感じるくらいだ。 「どーよ?」 「そりゃあもう、大輔と同じだ」 「……やりますなぁ」 「いやいや、お前さんには敵わねえよぉ」  ふたりでめんどくさそうな寸劇を始めた。  どうせやるなら大輔の席でやってくれないかなぁ、なんてことを思っていると、祐樹ががっしりと肩を抱いてくる。  暑苦しい。
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