短編 : 予想外予報

4/4
前へ
/5ページ
次へ
「じゃあ何となく話してみたくなったってことで」 「じゃあ、って何その感じ」 「そういう感じ」 「…お前なぁ!」  何か上手くかわされた気がする。それでも何か、 「…俺、今更だけど、八幡と沢山話してみたいなって思うんだよ」 「あ…?」  あれ、口に出してしまってた。まあ別に伝わって困る内容ではないから別にいいか。  八幡は少し俯いたのち、此方を向き、 「じゃあさ…今度一緒に出掛けようぜ」  結構真面目な顔をしていたから、変に笑えてきてしまう。 「ふはっ、別にそんなん要らねぇだろ」 「……それもそうだな」  二人でバカみたいに笑う。雪がその音を吸いとって、周りには変わらず静寂が流れていった。  その後互いに他愛のない話をしたのち、家に帰ると姉ちゃんに遅いと怒られた。だろうな。でも今日は近くにあった新しい出会いをして、友達になれそうな奴と話せて、とても良い時間だったなと思った。  今になると、あの言葉が本題だったんじゃないかと思う。  桜の木が見頃を迎えるなか、俺はあいつと共に俺の家で、ぼおっとしながらふとそう思った。あの頃の俺にしたら予想出来ないだろうな。 「来間?」 「いや、何でも。」  何でこんなに好きになってしまったんだか。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加