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「じゃあ何となく話してみたくなったってことで」
「じゃあ、って何その感じ」
「そういう感じ」
「…お前なぁ!」
何か上手くかわされた気がする。それでも何か、
「…俺、今更だけど、八幡と沢山話してみたいなって思うんだよ」
「あ…?」
あれ、口に出してしまってた。まあ別に伝わって困る内容ではないから別にいいか。
八幡は少し俯いたのち、此方を向き、
「じゃあさ…今度一緒に出掛けようぜ」
結構真面目な顔をしていたから、変に笑えてきてしまう。
「ふはっ、別にそんなん要らねぇだろ」
「……それもそうだな」
二人でバカみたいに笑う。雪がその音を吸いとって、周りには変わらず静寂が流れていった。
その後互いに他愛のない話をしたのち、家に帰ると姉ちゃんに遅いと怒られた。だろうな。でも今日は近くにあった新しい出会いをして、友達になれそうな奴と話せて、とても良い時間だったなと思った。
今になると、あの言葉が本題だったんじゃないかと思う。
桜の木が見頃を迎えるなか、俺はあいつと共に俺の家で、ぼおっとしながらふとそう思った。あの頃の俺にしたら予想出来ないだろうな。
「来間?」
「いや、何でも。」
何でこんなに好きになってしまったんだか。
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