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「はぁぁ……何で雨なんだろう」 いつもよりも大きな溜息を吐く。 最悪だ。今日は彼と……最後のデートだというのに。 高校生だった時から付き合っている彼氏とはもう何年目だろう。記念日だって、最近は仕事が忙しくて蔑ろにしてしまっていた。 別に、忘れてしまったわけでは無いのに。どうしても、どんな相手にでも、慣れっていうのは生まれるものなのだ。 申し訳程度にシリアルに牛乳をかけて咀嚼し、コーヒーで流し込む。 いつも通りにカラーパンツを手に取った。デートでスカートを履かなくなったのはいつからだっけ。 始めのうちは一生懸命にお洒落をしていたなぁ、と少しだけ懐かしくて乾いた笑いが零れた。 もう私も25歳だ。そんな可愛らしい事をするエネルギーなんて、身体の何処を探しても無い。 少しでも気分を明るくしようと、向日葵色にした。そして、量販店で買った白いTシャツを被る様に着る。
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