エピローグ

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 里香はマスコミに追われたが、友の会が守ってくれるし、統合失調の悪夢からも結局逃れたことになる。  けれど追われる身となったことで、愛したいじめの楽しみを失ってしまった。  真琴は同時期に行きつけの皮膚科のTVでユーチューブ騒動を知った。  自宅にはTVを持ってない。  貧しいからではない。  TVを楽しいと思わないからだ。  スマホとブログがあれば少しの時間差で情報は入ってくるので不自由していなかった。  待合室はそんなに混んではいなかったが、実はTVの方を向いているベンチがない。  彼女はまばらなギャラリーと一緒に立ち見をしていたのだが、そのままウトウト始めてしまった。  誰かが彼女の肩に手をかけた。  長身細身の若い男性のようだ。  さわやかな青紫のシャツが印象的。  「大丈夫?」  「大丈夫」  真琴はバランスを失った。男性が彼女を支えた。  「御門さん」  「うん」  彼女は暗転する意識の中で、再会の幸福に包まれていた。
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