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「ぎゃあ!」
思わずたらいを取り落としそうになる私に構う事なく、しっぽを掴んだ相手は苛立ちを隠す様子もなく声に表す。
「おいネコ子、誰だあの男は。もう閉店なのに何やってんだよ」
レオンさんだ。今まで厨房で火にかけられた大鍋の中のスープストックの様子を見ていたのだ。
私があのお客さんを引き入れた理由の一つが、このレオンさんの存在だ。彼がいれば手早く美味しい料理を作ってくれるのではと期待したのだ。
「しっぽ握らないでください! 私にとってはお尻の一部も同然なんですよ! それを平然と握るなんて性的嫌がらせです! レオンさんの変態! 痴漢!」
抗議するとレオンさんは手を離した。
「じゃあお前は尻の一部を平気で露出してるってわけか。どっちが変態なんだか。この痴女が」
ぐぬぬ……
その理屈で言えばその通りだ。私は自覚無しの変態痴女だったのだろうか。
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