始まりは雪の夜

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 そのうちに体調も回復し、以前のように活動できるようになった。  しかし、勝手のわからない世界で、知り合いもなく生きてゆくすべもない。  途方にくれる私を不憫に思ったのか、なんと、私を保護してくれた銀のうさぎ亭のマスターが、ここで働かないかと提案してくれたのだ。  相部屋だが、従業員用の寝室もあり、賄い付き。  なんて素晴らしいんだ。わたしは一も二もなくその話に飛びついた。  せめてこの世界の状況がわかるまでは安全に過ごしたい。  聞けば、この食堂の前にはなぜか時々私のような行き倒れが現れるらしく、その度に介抱しては行き場のない者に仕事を提供してきたらしい。どうりで私を発見した女性の対応も手馴れているようだった。  更には仕事を貰えるという噂を聞いた訳あり女性たちが、駆け込み寺のようにこの食堂に逃げこんでくることがあるらしく、そういった人に言えない複雑な事情を抱えた女性従業員も少なからず存在するのだ。そのせいか私も詳しい事情だとかをあれこれ聞かれずに済んだ。
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