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その事に密かに安堵する。異世界から来ました。なんて正直に言ったら頭のおかしい人に思われそうだし。かと言って、この世界に詳しくない私がそれらしい嘘をつけるとも思えなかったからだ。
それに、一時的な避難所としてこの食堂で働く女性達は、転職や転居の目処が立てば、いつかは自立してここを出てゆく。だから、従業員が限りなく増えるという事もないらしく、今のところは少し従業員の多い食堂という事でなんとかやっていけているようだ。その代わりお給料は平均より低いらしいが。それでもありがたいことに変わりはなかった。
しかし、それよりもなによりも不可解な点があった。
こちらの世界に来てから、何故か私の容姿が大きく変化していたのだ。
それに気づいたきっかけは、保護されてから数日後のことだったと記憶している。私の世話をしてくれていたイライザさんが、ベッドに上半身を起こした私の顔を覗き込んできた。
「お店の前に倒れてたって聞いた時はどうなる事かと思ったけど、随分と元気になったみたいね。顔色も毛艶も良いし、頬もふっくらしてきて。ほら、自分でもわかるでしょ?」
顔色はともかく、毛艶ってなんだろう?
そんな事を思いながらも差し出された手鏡を覗き込んだ途端、私の口から思わず
「……どなた?」
という言葉が漏れた。
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