運命の落とし物 うさver.

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運命の落とし物 うさver.

「音ちゃん、どうしよっ!スマホ、スマホ落ちてた!」 「どうって、交番じゃない?」 「でもでも、探してるかも。交番いくかな?」 「うーん、その中の誰かに一言伝えとく?」 「えっ!で、電話するの?でも、ないと困るし…よ、よしっ!」 大学の帰りに親友の音ちゃんと街デート(ただの買い物)中にスマホを保護?したことを持ち主に伝えるために、履歴から電話をかけることになった。人様のスマホを勝手に触るのに抵抗があったが、ロックはかかっておらず、すぐに履歴がみれた。 「うえぇー、知らない人と電話って緊張する。えっとどの人がいいかな?」 「どの人って誰も知らないだろ…。一番最近でいいんじゃないか?」 「なら一番上の、えっと、南条 流さん?でいいか…。履歴も一番多いし…」 「…ん?なんじょうりゅうさん?…ちょっ、待って!!「え?ど、どうしたの?もうかけちゃった!!」…あ、まぁ、しょうがないか。うん、と、交番に届ける件をちゃんと伝えろよ」 履歴はほとんどが南条流さん。この人にかければ持ち主さんに伝わると思って電話をかけた。名前を言った瞬間、音ちゃんが焦ってたけどどうしたんだろ?なんとなくソワソワ落ち着かない音ちゃん…気になる。それにしても南条さん全然でない…。後5コールで繋がらなかったら切ろうと決めて待ってると3コール目で繋がってしまった。 「は~い?狼、どしたの~?いつもは、こ~んな長くコールくれないのに~。もしかして寂しいの~?でも今、流君忙しんだよね~、急用~?」 「あ、あのっ、すみません、南条さんですかっ?」 「…は?お前、誰~?もしかして狼のセフレ~?」 「セ、セフ…レ?ち、ちちちがいますっ!あの、えっと、スマホを…ですね…えっと」 「ちょっと、何言ってんの?ふざけてる?狼そこにいないわけ?」 電話に出た瞬間はゆる系の人って思ってたのに、急に怖い声になって全然説明できない。しかも僕を、その、セ、フレと勘違いしてすごく怒ってる。どうしたらいいの。 「あ、の!すみませ、「ちょっと貸して…」、え?音ちゃん?」 「すみません、南条さんですか?ちょっと黙って聞いて下さい。」 「お前、誰なの?またセフレ?」 「僕は、黙ってと言ったはずですが…ま、いいや。あの、このスマホを拾った者です。持ち主に伝えてほしくて電話しただけなので、嫌な勘違いはやめて下さい。」 「黙…え?スマホ?狼のスマホ拾った?」 「そう言ってます。狼という方は知りませんが、持ち主であれば伝えて下さい。」 「え、そうなの?ごめん~、僕勘違いしちゃって~。」 「そうですか。ま、どうでもいいです。〇〇交番に届けておくのであとはそちらに。それでは…「ちょっ、」…。」 さっきまでソワソワしてた音ちゃんは相手の静止もきかずに要件を伝えて通話を切った後、「さ、交番に行こっか?早く買い物に行かないとね」と何事もなかったかのように歩き出した。移動してる間も持ち主不在のスマホには南条さんからの着信が頻回にはいっており、コールが鳴るたびに僕はビビっていた。音ちゃんも眉間にしわを寄せ、最後には電源をoffにしていた。さすが音ちゃん。後は届けるだけだと完全に油断してた。だってまさか待ってるなんて思わないよ。 「おい。俺のスマホ拾ったのってお前?」 「え……ひっ!お、音ちゃん、すごいイケメンさん。でも怖いぃ、助けてぇ」 「は?てか、スマホ、ありがとな」 「いやぁぁー…、こわいよ音ちゃん」 交番に近づいた時に急に誰かに腕を掴まれた。振り返るとイケメンな不良さんで…ビビりな僕は一人でパニック。音ちゃんに縋りつき、不良さんが何か言っていたが聞こえないくらいに取り乱してしまった。 「うさ、ちょっと落ち着け。ただの持ち主だろ?さっさと返して買い物いこう」 「そ、だけど、……あ、あの、これですっ!…っよし!さ、さよなら!」 「お、おいっ、ちょっと待てって」 「無、無理ですぅぅ。ごめんなさいぃぃぃ。音ちゃん早くっ」 「うさ、その掴んでるの俺じゃない…」 「・・・ぎゃぁあぁ。」 音ちゃんに急かされたけど持ち主の不良さんが怖くて怖くて、だいぶ失礼だけど目を閉じたまま半ば押し付けるように不良さんにスマホを返して、逃げようとしたら引き留められた。きっと対応が悪かったから怒ってるんだ。怖くなって音ちゃんを引きずって逃げようとしたのに、逃げようとしたのに何でぇ!僕の馬鹿!ずっと目を閉じてたからもう一人の不良さんに気づかなかったよ(泣) 「ぶっ、ははっ!何この子、ちょーおもしろいんだけど。ね、狼もそう思うでしょ~?」 「おい、そのへんにしとけ。これ以上怖がらせたくねぇ」 「それって…ふぅ~ん、そういうこと。うさちゃん?怖がらせてごめんね。でも怖いことはしないからね~」 「は、はい。僕もごめんなさい…。あと、うさちゃんじゃなくて秋兎です。」 「そなの?そっちの彼がうさちゃんで呼んでたから~、でもうさちゃん似合ってる~」 「い、いや、あの…もう!音ちゃんがその呼び方やめないから…」 「いまさらだろ。それより用事終わったなら早くいくぞ…と、いうことなんで俺達はこれで失礼します。」 「ちょっと待て。スマホのお礼がまだだ…」 「そんなの大丈夫です。もともと通り道だっただけですし」 「まーまー、そう言わず。僕達も街に行くとこだし~?一緒に行こうよ。ね?うさちゃん」 「へ?い、いや、、「一緒にいくよね~?」はいぃぃぃ!!」 「おい、流。脅すな。」 「だって~、ほらほら、うさちゃんは一緒がいいって~、ね、音ちゃんも行くでしょ?」 「はぁ…。」 不良さんは怖いけどなんだかんだ助け船を出してくれてきっと優しい人なんだろう。たけど、もう一人の不良さんが強引で…。さすがの音ちゃんも押し切られてた。すっごい嫌そうな顔してる、、、その気持ちわかるよ!お礼ってなんだろ、早く終わんないかな。」 「お、音ちゃん…ここはどこでしょう。どういう状況…」 「うさ、落ち着け。とりあえず、手の震えと変な顔をどうにかしろ。」 「ひどい音ちゃん。この顔はもとか…ら…いやあぁぁ、怖いぃ。」 「総長、なんすかこいつら?」 「やるんすか?瞬殺じゃね?」 「てめぇら止めろ。こいつらは俺らの客だ。わかったなら散れ」 「そうだぞ~。変なこと言ったら~、やっちゃうぞ?」 「「「「・・・すいませんっした。」」」」 お礼がしたいという不良さん達に半ば引きずられ連れてこられた場所はお洒落なbar。中にはカラフルな…カラフルな不良さん方。なるべく目立たないようにしてたけど気づけば全員からの注目の的。物騒なことも言ってるし…。やっぱり怒っててリンチするために連れてきたとか?もう怖くて怖くて音ちゃんの腕にしがみついてしまった。 「うさ、腕が痛い。僕も怖くないわけじゃないんだけど、たぶん大丈夫だから落ち着いて。」 「2人ともうるさくしてごめんね~、ささ、奥に行こっか~。」 「秋、怖がらせて悪かった。でも、俺はお前たちに暴力は振るわない。絶対だ。だからそんなに怖がらないでくれ。」 「は、はい、すみません。その、慣れなくて。」 「僕も暴力反対~。さ、音ちゃん行くよ~。」 「ちょ、引っ張らないで、行きますって!」 出会ったばかりの僕にもとても優しい不良さん。暴力はしないって言ってくれた時に握ってくれた手は少し震えてた。見た目だけでこんな優しい人を怖がってるなんて、僕最悪だ。チャラい不良さんもなんだかんだで音ちゃんに優しいし。ちょっと落ち着いて話してみよう。奥の部屋に通されるとマスターがジュースを持ってきてくれた。 「ほらよ、これでも飲んで落ち着け。それにしてもこいつらに目をつけられるたぁ、お前たち災難だったな。」 「ちょっと~、どういうこと~?」 「族のツートップなんざ、一般人からしたら恐怖でしかねぇよ。」 「族?」 「あ?なんだお前、もしかして知らねぇでここにきたのか?」 「え、、、っと、はい。え、音ちゃんも知らないよね?」 「俺は電話する時からわかってたよ。知らないのはうさだけでしょ。」 「音ちゃん、ふ、不良さん達のこと知ってるの!?」 「不良さんって、お前ら自己紹介もせずに連れてきたわけ?そりゃ、震えるくらい怖がるわけだ。」 「名前言わなくてもわかると思ってた~、そっか、僕たちの事知らない子がいたんだ~、ごめんね~。改めまして~、僕は南条流、りゅうちゃんって呼んでね~。で、こっちが総長の吾妻狼ね~。うさちゃんは好きな呼び方でいいと思うよ~。」 「え?でも総長さんだし…、吾妻さ「吾妻さんって呼んだら怒っちゃうかもね~」…ろ、狼さんで。」 「なんて呼ばれても怒らねぇよ、でも一番それが嬉しいかもな。」 「は、はい/// なんか照れます。」 「あ、あぁ///」 不良さんたちが本物の不良さんだった事実をマスターから聞いて納得。でも不思議と怖くはなくて、逆になぜか男の人の名前を呼んだだけで顔が真っ赤になって照れちゃって。僕、どうしちゃったんだろ。 「ちょっと~、僕達忘れられてる~音ちゃんもなんとかいってよ~」 「流ちゃん、うるさい。」 「え…音ちゃん今、流ちゃんて…え、え、え、、、、」 「呼んでって言ったから、ダメなら南条さ「だめぇ~!もっかい呼んで~」 「やだ。」 「音ちゃんお願い~」 「もう、うるさい。」 音ちゃんと流ちゃんも僕たちの事忘れてる。今日初めて会ったはずなのにとても仲が良くて羨ましい…。あれ?何で羨ましい?あれ?なんだか体が熱いし、頭がふわふわ。 「音ちゃ~ん、なんだか楽しいね~。えへへ。」 「え、うさ!?ちょ、抱きつくなって、ちょ、なんで酔ってる!?」 「えぇ~?僕酔ってらいよ~、音ちゃんらいすき~ギュー!」 「い、痛い。うさ、痛いって。ちょっ、キスはダメ!ちょ、総長さん、うさ引き取って」 「あ、あぁ。ちょっと驚いた。どうしたんだ?」 「うさは酒に弱くて、キス魔、抱きつき魔で大変なんですよ。きっとこのジュース、、、」 「ちょっとマスタ~、いきなりお酒はダメでしょ~」 「大学生だろ?お酒っていっても風味みたいなもんだぞ?…ま、お前らで何とかしろよ~、じゃあな」 あれれ~、マスターろこか行っちゃった~。まだお話しらかったろに~。音ちゃんに抱き着きたいのに狼しゃんが離してくれらい。なんか狼しゃんいい匂い。この匂い好き~ 「狼しゃん好き~。「はぁ!?」…いい匂い~、ギュー!」 「心臓がもたねぇ…。」 「うさ、総長さんが困ってるぞ。少し離れてやれ。」 「やらぁ~!れも音ちゃんも好き~。音ちゃん、チューしよ~チュ~」 「だめぇ!可愛いけど、音ちゃんはだめ~!狼で我慢して~」 「おい、流!てめぇ、何言ってんだ」 「狼しゃん?狼しゃんも好き~」 「秋が好きなのは俺の香水だろ?あんまり抱き着くと襲うぞ」 「匂いも好きらけろ~優しい狼さんが好き~」 「うっ、もう知らねーぞ。流、先に帰るわ。」 side:狼 柄にもなくスマホを落としたのは運命だと思った。秋をみた瞬間から俺のモノにしたいと思った。どうやって慣れてもらうか考えてたら今じゃ抱き着いて離れねぇ。酔ったところを…なんてありえねぇけど正直、マスターには感謝してる。酔ってるって分かってるけど好きって言われたら止められねぇ。思わず自宅に連れてきたけど、嫌われたくねぇし、どうすっか。 side:end 「ここ狼しゃんのお家れすか~?初めてのお宅訪問れす。」 「無意識にそういうこと言うの止めろ。本当に我慢できねぇから」 「我慢?ん~?」 「抱くのを我慢。嫌なことはしたくねぇ。」 「抱きたいれすか?いいれすよ~」 「ば、ばかやろう!何言ってんだ!酔った勢いなんてだめだ!」 「いいれすよ~、はい、ぎゅーーーっ!はぁー、何か安心します。」 「…は?あ、あぁ、なるほどな。抱き着くな。そうか、、、そうだよな。」 「ん~?違うれすか?」 「いや、ありがとう。少し距離が縮まったみてぇで嬉しいわ。」 「僕も嬉しいれす~。狼しゃんと仲良くなれて~ちゅ~zzZ」 「…はぁ!?今、キスしたか…てか、寝たのか。このタイミングで…俺のコレどうすんだ…はぁ」 ん~、寒い、、、ん?何か温かい、僕の布団こんな温かかったっけ?「秋、そんなに抱き着くと朝はいろいろツラいんだが…」…え?え? 「えっ!?」 「どうした?」 「ええ?な、ええ?総長さん、、、え、どうしてぇ!?」 「秋、落ち着け。あぁ、昨日酔ってたから…もしかして、、、覚えてねぇのか?」 「え、えと、スマホ届けて、総長さんと流ちゃんと会って、barに行って…えと、えーっと」 「そこで秋は酔っぱらったから俺んちに連れてきたんだが、、、そうか、覚えてねぇか。昨日の秋は可愛かったんだが…」 (優しい狼さんが好き~) (抱きたいれすか?いいれすよ~) 「あ、ああぁああぁ////ご、ごめんなさい。すみません、」 「思い出したか?俺は気にしてないから大丈夫。」 「総長さんに抱き着いて、僕なんてことを…」 「秋、俺は秋と仲良くなれたみてぇで嬉しかった。ま、抱き着かれていろいろヤバかったけどな」 「き、気持ち悪いですよね、本当にごめんなさい。」 「そうじゃねぇ。理性が…な。」 「え?理性…ですか?」 「秋、俺が言った抱きたいってのは抱きつきたいって意味じゃねぇ…お前とsexしたいってこと。」 「セ、セセ、セッ…///」 「ははっ、やっぱわかってねぇよな。今も気持ちは変わってねぇけど、秋が嫌がることは絶対しない。」 「あ、あの、僕よくわからなくて、、、その総長さんのこともまだわからない…」 「そうだな。秋、会ったばっかりでこんなこと言っても信じられないかもしれないが…一目惚れってやつだ。お前が好きなんだ、俺の事を考えてほしい。」 「えっ///そんなこと、、、急に、えっと、心の準備が…えと」 総長さんは出会った時から優しかった。苦手な不良さんてことで失礼な態度をとった僕に怒ることはなくて。逆に僕が困った時はさりげなく助けてくれたし、流ちゃんからも守ってくれた。僕が怖がってる時にかけてくれた声は少し震えてた。思えばいつも優しかった。 「正直、僕はまだよくわかりません…」 「そうか、そうだよな、、、ごめ「でもっ!総長さんと一緒にいたいと思いました。」…は?」 「だ、だから、つまり、、、、総長さんの傍にいてもい、いいですか?」 「秋、、、、秋、もちろん。考えてくれてありがとう。大事にするから。」 「僕、いろいろ遅くて、総長さんをきっと困らせます。でも、でも少しずつ慣れていきます。」 「秋のことならいつまでも待つ。でも、まずは俺の事、昨日みたいに名前で呼んでくれないか?」 「え、あ、、、えと、、、、ろ、狼さん////」 「ありがとう、、、秋兎。」 ぎこちないながらも恋人?になった僕たちは、次の日にbarで音ちゃんと流ちゃんに報告した。なぜか2人は知ってたみたいで「やっぱり」って言われちゃった。他の不良さん達にもきちんと自己紹介して少しは慣れることができたかな。そういえば、報告したときになぜか音ちゃんがすごく疲れてたけどどうしたんだろ…。
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