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「2章・10」ギルドデビューします
それぞれの武器は、王家の物だけに男性用。若い女には、一抱えもある。エリザベスは、持ち上げられずに腰くだけ。
「何なの!私には、無理のようですわ。」
パトリシアがトコトコと寄って来て、片手でピョイと持ち上げる。娘たちは、目を丸くした。
エリザベス「何なの?怪力ー!」
ガブリエル「信じられない!」
エレン 「力もちーー!」
エドワードは、吹き出す。知っているからだ。
「こつが、あるんだ。僕は、教えてもらったけど。ギルドでも、驚かれたよ。」
その通りに、念で呪文を唱えると羽のように軽くなる。教わって、皆でやってみた。
「クソオヤジ!」「クソオヤジ!」「クソオヤジ!」
お見事。軽々と扱えました。使い慣れたら実戦へと進みましょう。そう、皆でギルドへ行くのです。
ギルド入会キャンペーン中。今なら、入会金無料で入れます。
ギルドの入会金を払わずに済んだ。その上、回復ドリンクも特典で配布される。
エドワードとエリザベスは登録しているので、ガブリエルとエレンが入会した。初心者なので、レベルFから始まる。受付で注意。
「あなた達、チームですか。だったら、チーム名を書いて下さい。」
パトリシアがリーダーとなり、5人で相談。エドワードの提案した「タランチュラ」は却下された。
娘たちが、女の子らしく可愛い名前を希望。
娘たち「じゃ、テディベアでお願いします。」
受付「すでに、使用しています。同じ名前は、使えません。」
娘たち「ええー?じゃ、タンポポでお願いします。」
受付「すでに、使用しています。」
娘たち「困ったわ。じゃ、茹で玉子(ゆでたまご)でお願いします。これも、駄目かしら。」
受付「はい、茹で玉子で登録できました。」
という事で、チーム名は「茹で玉子」になりました。さあ、初陣は、やっぱり、手っ取り早い集団パーティーでしょう。
「大量発生したスライム被害の駆除ならFレベルも入れる集団パーティーがあります。1時間後に締め切りですが、参加されますか?」
初めてがいるので、スライムなら無難。喜んで参加します。パトリシアが用意した初めてのパンツスタイル。互いに褒め合う娘たち。
「何なの、可愛いー!エレンもガブリエルも、お似合いよ。」
「エリザベスさんとガブリエルさんも、似合ってます!」
「本当に、エリザベスさんとエレンさんは可愛いですわ!」
同じくパンツスタイルのパトリシアは、エドワードと目を見合せた。こういう時、男の子と女の子は違うらしい。
応募が締め切られて、順にチーム名や個人参加の名前が呼び出される。
「チーム茹で玉子!」
さあ、初ギルドを頑張りましょう。
エドワードの執事は、出迎えて立ちすくむ。玄関ホールに転がっていた傷だらけで服は破れている娘たちの姿に。
ご主人さまのエドワードは元気で、ご友人のパトリシアも無傷だが。執事は問いかけた。
「また、ギルドでございますか?」
エドワードは、笑顔で頷く。
「そうなんだよ、楽しかった。ね、パティ?」
パトリシアは、動けない娘たちに屈み込む。彼女が呪術のような力を使うのを執事は知っていた。そっと立ち去って素知らぬ顔。
主人の秘密を守るのも、執事の仕事です。
「皆、ご苦労様。めいめいの家へ送りますよ。今晩、ぐっすりと眠れば明日は回復します。」
傷を治されたエレンは、力の入らない声で謝った。
「ごめんなさい、パトリシアさん。私、守護が役目なのに。スライムが飛び付いたから怖くて!」
「いいんです、気にしないで。君は、初めてなんだから。」
エレンは、優しい声の主を見上げた。溢れる涙で濡れた視界に写る丸い顔の少女。
(その目の奥の貴方に、私は会いたいと思ってるの。おかしいかしら?)
優しくて頼りになって、どんな時も強い男の人。パトリシアという少女の姿をしている人は呪いでも掛けられてるのかしら。
そう、彼女は彼に恋心を抱いていた。
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