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「2章・12」お披露目に皆で行こう
今日は、エリザベスとジェラルド王子の正式な婚約発表です。
王宮で華々しく、王家の婚約式が行われた。王様の宣言。
「我が王様の王子であるジェラルドと、ウェスト伯爵家の令嬢エリザベスとの婚約を認める!」
集まった貴族たちは、祝福した。ジェラルド王子と並んだエリザベスは、2人で会釈する。
すでに、競争相手の王子たちは姿を消した。今、王位に最も近い王子はジェラルド王子だけだ。王位継承者になるのは間違いない。
エリザベスも、仲間入りしたのだ。王子の婚約者として王位の列に入ったので。
パトリシアの館へ着いた馬車から、エレンが荷物を持って降りて来る。重たそうに、よろめきながら。
後から着いた馬車からは、ガブリエルも荷物を持って。重たそうに、よろめきながら。
館の居間には、自分の家のようにエリザベスがくつろいでいた。
「エレン、ガブリエル、ありがとう。2人とも愛してるわ!」
汗だくで2人が運んで来たのは、買い込んだ食べ物だった。居間に広げると、待ちかねたようにエリザベスが食べ始めた。
パクパクパクパクーー。
それを眺めるエレンとエリザベスは、見てるだけでお腹いっぱい。
「ねえ、ガブリエルさん。エリザベスさんは、あんなに食べても太りませんね。お呪(まじな)いのせいですか?」
「そうみたいですね、エレンさん。凄いおデブさんになりそうな量を食べていても、変わりませんもの。」
一息ついたエリザベスは、樽ごとハープティーを飲む。
ゴクッゴクッゴクッーー。
そして、腕のブレスレットを2人に見せた。
バトリシアが渡した魔法の掛かった緑の石のブレスレット。毒消しの効能付き。
「凄いったらないの、効用が。毒を盛られて、ジェラルドは当たるのに私は気分が悪くなるだけなんですから!」
王位の次期継承者とされたら、暗殺者のターゲットになるのは当然。注意していても防御は難しく、ジェラルドは入院中。
「毒に負けないのはいいんですけど、お腹がすくのよ。用心してないと危ないから、何処でも食べられないのが困りますの。」
パトリシアが、帰宅。こちらも、買い出しでした。その食べ物も、あっという間に食べ終わる。
「ご馳走さまでした、完食ーー!」
嬉しそうな笑顔のエリザベスに、エレンとガブリエルは心配して言う。
「そんな危ない事、やめましょう。死んだら終わりじゃない。ねえ、ガブリエル?」
「そうよ、刺客にも狙われるんでしょ。婚約解消して逃げないと!」
エリザベスは、2人を抱き締めて礼を言った。
「うふん、感謝するわ。他の人の言う事なんて嘘っぽいけど。あなた達は、真実の友だもの。心配させて、ごめんなさい。でも、もう少しだから。後少しで、完璧なのー。」
何が完璧なのか、エリザベスは教えてくれない。何か企んでいるようだ。
そして、エレンとガブリエルを自分の家へ連れて行く。
ギルドに参加して一緒にスライムを追いかけた事で結束の強くなった「チーム茹で玉子」のレディースメンバー。案内されたのは。
「何なの?お好みに合わなかったかしら。」
エレンとガブリエルは、唖然とするばかり。衣装部屋に並ぶドレスの数々。平民では手に入れられない豪華さ。
「何なの?立ってないで着てみてくださるかしら。サイズは習った魔法で自分に合わせられるでしょ。」
エリザベスが勧めるが、これを着て何処へ行けと言うのか。平民階級では、着て歩けないというのが分かってない。お嬢様だから。
ガブリエル「エリザベスさん、気持ちだけ頂きます。着て行く場所も無いし。」
エレン 「そうです、家に置いてたら旦那さま(パトリシアの父親)に何と言われるか。」
エリザベス「あなた達、私の婚約お披露目パーティーへ行きたくないの?私の母が特注した素敵な超豪華なドレスを見たくないのかしら。」
それは、そうだが。ガブリエルは追放されたので、2度と顔を出す事は無いと思っていた。
エリザベスのお披露目 パーティーへは行きたいと思ってはいるけど。
エレンとて、裕福な家の育ちなので社交界へデビューするのを夢見ていた事がある。でも、今の身の上では無理な話だった。
「何なの?2人とも、やらないで諦めたりしないで下さいな。私達には、強い味方がいるでしょ。パトリシアさんという魔法使いが!」
そうだった。解決できる強い力を持った魔法使い。パトリシアが願いを叶えてくれるかもしれないのだ。
早速、パトリシアに3人で頼みに行く。エリザベスのお披露目へ連れて行ってと。
「あそこへ行くのは、少し安全面が。他の場所なら、私が用意しますよ。」
「うん」と言わないパトリシアに、エリザベスはガブリエルの背中を押した。だって、ガブリエルの頼みは断らないでしょ。
「パトリシアさん、私達、行きたいの。どうしても、駄目ですか?」
「どうしても、ですか?うーん、仕方ないな。」
ほら、そうなるわよね。と、エリザベスは笑うのだ。パトリシアは、ガブリエルの頼みならやってくれる。特別だからだ。
何故なのか?それは、いつか、調べてみせるわ。何か、あるのは確かだから。
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